「第3回電通大杯 マイコンカーラリー大会」自由工房メンバ 参戦記

2010年2月6日(土)大阪電気通信大学寝屋川キャンパスの自由工房にて、第3回電通大杯「マイコンカーラリー大会」を開催しました。昨年より多い82台が出場しました。電通大オリジナルの画像処理部門で、コースを周回するマシンが登場し、エポックメイキングな大会となりました。

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レポート

自由工房では、2009年6月から11月まで全8回のオープンセミナーを開催してきました。全国大会で活躍している方や画像処理MCRを製作している方を講師に招き、初心者から、新技術に意欲的に取り組む社会人まで幅広い層を対象としたセミナーです。電通大杯 マイコンカーラリー大会はオープンセミナーの総括として、1年を通じて学習した成果を披露し、全国の方々と交流する場として設けました。

大会は、高校生と一般参加を分け、それぞれ全国大会出場経験がある人(Aクラス)、これから全国を目指す人(Bクラス)、高校生にはベーシッククラスを設けました。多くの方に入賞のチャンスがあるのが特徴です。

また、他にはない画像処理部門があります。これは、将来の技術者となる高校生大学生に、最先端技術に積極的に取り組む面白さを伝えることも目的としています。

電気通信大学自由工房からは、一般の部Aクラスに富田 信君(電子機械工学科2年)、Bクラスに、和田貴大君(情報工学科2年)、増田健剛君(電子工学科2年)、石村仁志君(医療福祉工学科2年)、安慶名将君(電子機械工学科1年)、大林尭史君(電気電子工学科1年)、そして画像部門に林雄一さん、立花勢司さん、畠中一輝君(電子機械工学科2年)が参加しました。

一般Bクラスは、大林尭史君が13秒27で優勝、2位に石村仁志君、3位に和田貴大君とトップを独占しました。画像処理部門は、林雄一さんが走行距離7m72で2位に入賞しました。

画像処理部門で優勝した登 弘聡先生(神戸市立科学技術高等学校)は、昨年のオープンセミナーを受講したのがきっかけで画像処理MCRに興味をもたれたそうです。講師の溝上 洋三氏(X線技術研究所)のマシンとプログラムを参照し、プログラムを研究したということです。カーブ、クランク、レーンチェンジという難しい課題をクリアし、コースを周回しました。残念ながら途中でタイヤがコースから外れたため、完走とはなりませんでしたが、見事な走行に観客が感動していました。【画像処理MCRの動画

競技会後は懇親会を開きました。乾杯の前には、自由工房の各プロジェクトの年活活動報告を発表し、主に高校生の方達にロボット製作を通じどのような自主学習をしているのかアピールしました。食事を楽しみながら歓談したり、高校生達と交流したり楽しい時間を過ごしました。

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大会の感想

大林 尭史君(電気電子工学科1年)

MCR 初めて電通大杯MCRに出場しました。今大会には高校時代に作ったマシンで出場しました。1年以上使用しているので、機械的にガタがきていてマシンに限界がありました。

車高が高く重心が上にあるため、高速でカーブを曲がると外に荷重してマシンがふらついてしまいます。マシンのガタをプログラムで微調整していますが、ソースを理解できてないところがまだまだあるので、記録を縮めるのは難しかったです。

それでも、クランクを綺麗に曲がってくれたのが嬉しかったです。

今大会に出場して、来年は全国で通用するマシンをつくりたいと改めて思いました。そのために、最適なトレッドを見つけ、車高を低くした新型を設計したいです。今後はプログラムを持って勉強して、、カーブをキレイに曲がれるようにしてタイムの短縮を目指したいです。

石村 仁志君(医療福祉工学科2年)

MCR☆riv.改(リヴォルツィオーネカイ)で出場し、一般Bクラスで準優勝しました。

去年は、前日まで焦りまくってギリギリの状態で大会に臨みましたが、今年は2年目ということもあって、事前に余裕をもって調整を終えて、落ち着いて大会に臨むことができました。2回の走行で1度もコースアウトすることもなく、準優勝できました。生まれて初めての入賞だったのでとても嬉しいです。

大会準備として、ハードは精度の悪かったギアボックスを作り直し、ギア比を下げて、最高速を上げました。走行テストでは、ハイスピードカメラで撮影し、映像から無駄な動きを見つけてプログラムの改良をしました。具体的には、レーンチェンジとクランクでできるだけ減速しないように工夫しました。

成績は残せましたが、反省すべき点もあります。まず1走目で、電圧が下がる寸前の電池を気づかずに使ってしまったこと。そして、左後輪のモータの導線が切れて3輪走行になってタイムが落ちたことです。

2走目までの時間にトラブルを解消し、タイムを縮めて入賞できました。

こうして結果を出して、改めて早めから作業して余裕を持つことの大切さを実感できました。来年度は、大きな仕様変更はせずに、今のマシンのプログラムとメカの精度を上げていきたいと思います。他の人のマシンを見て、どうやって工夫しているかがやっと見えてきたので、参考にして自分のマシンに生かしていきたいと思います。

今回作り直したギアボックスもまだ精度が足りなかったので作り直し、さらにスピードを上げても安定走行できるように調整したいです。坂道検知用のスイッチが壊れたので、固定方法の改良も検討します。

もちろん早め早めの作業を心がけ、次回もいい結果を残したいです。

和田 貴大君(情報工学科2年)

MCR昨年は4位だったのが、今年は3位に入賞できました。MCR歴は4年目で、今回が最高成績です。毎年、成績が上がっているのが嬉しいです

とはいうものの、第1走行で暫定1位だったのが、2走目で大林君、石村君に抜かれてしまったのは、とても残念です。

2走目は、ギリギリ行けるかなと思っていたスピードで勝負をかけました。いいペースで走っていたのですが、ゴール手前の最後のクランクでコースアウトしてしまいました。1走目より、速く回っていただけに悔しいです。

全国大会をピークに、その後マシン自体の性能が落ちている気がします。ハンドルを切るスピードが落ちているので、マシンの調整はプログラムで補正を掛けていました。しかし2走目は走行時に異音が発生し、プログラムの調整だけではどうにもならない状態でした。

こうした反省点を踏まえて、来年は機械的な精度とメンテナンス性を重視したマシンを作りたいです。自由工房のマシンは、共通設計の部分が多いです。同じ設計のマシンでは、皆と並ぶことはできても抜くことはできません。トップを目指すためには、オリジナルなを作るべきだと思いました。

来年度は、低重心でパーツ点数を減らした構成にし、他のメンバーと差別化していきたいです。

増田 健剛君(電子工学科2年)

MCR涼風(スズカゼ)で、一般Bに出場しました。今までは、本番前に頑張りすぎて「改悪」にしかならなかったけれど、今回は事前の改良がうまく進んで、完走できたのでよかったです。

大会に向けて新しいマシンを作っていましたが、注文出していたモーターが間に合いそうもなかったので、バラしてあった旧機体を組み立てて出場しました。昨年の大会で歪んだボディを修正し、センサーやエンコーダを調整して、できるだけ良い状態に調整しました。

大会直前、プログラムを和田君に手伝ってもらって調整しました。練習時間が不足して試走がとことんできなかったため、限界速度がわからなくてスピードを抑えて大会に出走しました。

1走目は、コースアウトしてしまいました。これが完走できていれば、2走目でもっと勝負に出ることができたと思います。マシンへの信頼が高ければ、もっと速いスピードで走らせてタイムを短縮できたと思います。あと0.6秒速ければ、3位に食い込めたと思うと、残念です。

今大会は、昨年よりも参加者が多く、高校A/B 、一般A/Bともに盛り上がったと思います。特に一般Aの走りを見ていると、「やっぱり大人は速い(笑)」と次元の違いを実感します。高校生も、全国を経験しているマシンは速いので、「負けてられないな!」とやる気が沸いてきました。

MCRの大会は、1年の時に地区大会で完走しましたが、その後は、大会前の調整に失敗して完走できずにいました。今回、久しぶりに完走できたことで自信がつきました。

来年度は、夏の全国大会、冬の電通大杯でいい結果を残せるようにしたいです。そのためにも、モータをマクソンにし、駆動・制動ともにレベルアップしたマシンを完成させたいです。ハイスペックなマシンを、きっちり制御するプログラムを組むのが課題になります。

毎年、着実に技術が身についてきているので、次は成果が出せるように頑張ります。

富田 信君(電子機械工学科2年)

MCR「刃走」で一般Aの部で出場しました。

前日まで走っていたマシンが、当日になって走らなくなってしまいました。すごくショックで、試走をしている時に、思わず「なんでぇ〜!!」と叫んだくらいです。

コースアウトする場所は一緒でしたが、毎回違う落ち方をしていました。プログラムでブレーキを強くしたりと、考えられる工夫はしてみましたが、必ずクランクで落ちてしまいました。

試走の短時間では、原因解明できずにそのまま大会に出ることになりました。結局、2回ともコースアウトしてしまい完走ができませんでした。マシンの調整が甘かったと反省しています。

しかしながら、今回出たマシンでは、完走できたとしても優勝マシンのタイムにはまったく歯が立たない差がありました。4位にも1.5秒の差があります。

今後は、今のマシンを走らせてトラブルの原因を解明します。その後、大会の経験と上位マシンを参考にし、新作設計に取り組みたいです。来年度はアナログセンサ、自作サーボを使った新マシンを構想しています。その新マシンで、全国大会では上位を目指したいと思います。

安慶名 将君(電子機械工学科1年)

MCR一般Bに出場し、2回とも完走できました。

今回出場したマシン「マリオネットver2.0」は、先輩の車体をまずCADで描いてから、できるだけコンパクトに設計しなおして作ったものです。基板に合わせてボディサイズをギリギリになるように、横幅と長さを変えました。マシン製作には3週間くらいかかりました。

プログラムは和田さんのソースをベースにして、調整しています。カスタマイズ不足で、上手く性能を出し切れませんでした。そのため、思ったよりスピードは出せなかったです。プログラム調整にもう少し時間を取れるようにしておけばよかったと思いました。

走行中にカーブで車体が振れているので、ロスがあります。来年度は、カーブや、クランクをスムーズに走行できるように、無駄を極力解消ししたいです。そのためにも、重心をできるだけ低くする工夫を施したいです。

大会では、高校生が自分より速いタイムを出していたのがショックでした。全体的に、調整不足だったと反省しています。

今回、思ったより機体の作成に時間がかかってしまったので、今後はスケジュール管理をしっかりして、もっと余裕を持ってプログラムの調整し大会に挑みたいです。

画像処理部門

画像処理部門に出場した、立花さん(OB)と畠中一輝君(電子機械工学科2年)は、林さんのマシンを使い操作方法を練習して出場しました。

画像処理は、周囲の明かりの影響を大きく受けるため、マシンの置き方やセンサ調整が重要になります。走行前にセンサの上で手をかざし、露光の調節が必要になります。マシンによっても、多少癖があるので特性を把握しておかなければ、性能が出せません。

MCR畠中一輝君は、初めての画像処理ロボットを操作し「前日の練習の方が走っていました。日中と夕方だと室内でも明かりの調整が違って、走りが変わることが実感できました。そういう点も、画像処理の面白いところだと思います」と、感想を述べました。

MCR立花さんは、画像処理MCRのセミナーではスタッフをしていたので、資料等で概要は把握していたそうです。「画像処理MCRには興味を持っているので、来年は自分で作ったマシンででます。林さんのマシンを見て改良点を思いついたので、秒速3mのマシンを目標にします」と意気込みを語ってくれました。

林雄一さん

MCR2連覇を狙っていたのだけど、2位になりました。機体は、去年優勝した時から大きな変更はしていません。ソフトを修正して、調整をしました。

優勝できなかったことは、正直、すごく悔しいです。優勝した登先生の走行は、すごかったです。脱輪して正式記録にはならなかったとはいえ、ほぼ完走した登先生のマシンには、現役でMCRをやっているノウハウが活されているのが見えました。参考になる点がとても多かったので、今後のプログラムに積極的に取り入れていきたいです。

来年は、新ハードを設計し性能を上げていきたいと思っています。

画像処理も、来年度からは、完走してタイムレースになることが予想されます。画像処理セミナーをやったことで、参加してくださった登先生には参考になったと思うし、セミナーの効果はあったと思います。来年度のセミナーでは、タイム短縮につながる部分を解説し、これから画像処理MCRを始める人を育てていけるようにしたいです。