第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 画像処理部門レポート

2011年2月5日(土)、大阪電気通信大学寝屋川キャンパスの自由工房にて、第4回電通大杯「マイコンカーラリー大会」を開催しました。今年は、画像処理部門に7台のマシンが出場しました。

コース


※コース全長42.55m(クリックで拡大します)

リンク

第4回電通大杯 マイコンカーラリー大会

「マイコンカーラリー」オープンセミナー2010

第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 公式記録

第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 懇親会

第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 動画

画像処理 マイコンカーラリー

レポート

通常のマイコンカーラリーは、コース上の白線をデジタルセンサやアナログセンサで検知し走行します。それに対して、画像処理マイコンカーラリーは、車体にカメラを搭載し走行しながら撮影した映像をマイコンで解析し走行します。

ジャパンマイコンカーラリー実行委員会が開催する公式大会には、画像処理部門はありません。しかし以前から、画像処理で競技にチャレンジしている参加者がいました。電通大杯では、自由工房のオリジナル部門として、画像処理部門を実施しています。

自由工房からは、セミナーで画像処理部門の普及に努めている林 雄一さん(技術講師)と、和田貴大君(情報工学科3年)、中井智貴君(電子機械工学科1年)の3名が出場しました。

昨年度までは、完走するマシンがなく距離計測で記録を競っていましたが、今年は2台のマシンがゴールしました。優勝は、昨年に引き続き「SCITEC-i(登 弘聡氏/神戸科学技術高校)で1分12秒27。2位は「未来(林 雄一氏/大阪電気通信大学)」の1分34秒52でした。

画像処理マイコンカーラリーも、部門設立3年目にして、既にタイム競争の時代に突入しました。「技術者として、常に新しい技術へのチャレンジ精神を持ってほしい」という願いを込めて、広く技術情報を公開し、オープンセミナーも開催しています。今後、もっと多くの参加者を得て、技術が発展していくことを期待しています。

動画

画像処理部門 優勝「SCITEC-i(登 弘聡氏/神戸科学技術高校)」記録:1’12″27

感想

林 雄一さん(技術講師)

第2回電通大杯から開催しているこの画像処理の部門も、はやくも3回目となりました。

昨年度予想した通り、今年からは距離ではなくタイム勝負になりました。今年は7台のエントリーがあり、難易度が極めて高い画像処理マイコンカーラリーの裾野も広がってきています。オープンセミナーに参加してくださった、高校の先生の参加もあり嬉しく思います。

私も、大会には第2回大会から画像処理へ選手として参加しました。今大会のコンセプトは、安定性とスピードのバランスを取ることでした。昨年度マシンをベースに、走行ラインを追従するためのハンドル制御の計算式に大幅な改良を加えました。より最適な走行経路を決定するアルゴリズムを吟味しました。

また、スピードと走行ライン輝度は反比例することから、理論式を立てカメラの制御と速度の制御に反映させました。

共同研究者の登氏(昨年度のマシン)のヘッドライトからヒントを得て、カメラに適切なフラッシュを制御する改良を加えました。想定通りのプログラムで完走しましたが、登氏のタイムに少し及ばず準優勝でした。

これからは、画像処理マイコンカーラリーも1秒を争うタイム勝負になり、ハードウェア・プログラムのレベルも上がってきて面白い大会になると思います。今後、ハードウェア性能が上がりさらにスピードが出せるようになったら秋葉原UDXで開催されるジャパンマイコンカーラリー全国大会へのエントリーも考えたいです

自由工房メンバーの中井君も1年生ながら画像処理部門で頑張っていました。彼は機械の腕もいいので軽トラックの機構部・外装部も今後さらにバージョンアップして完成度をアップしていってほしいいと思います。

今後も自由工房のウエブサイトやオープンセミナーを通じて、画像処理マイコンカーラリーの情報発信を行っていきます。画像処理マイコンカーラリーを始める方のサポートができたらと思います。大会に参加して頂ける方や仲間が増えると良いですね。

中井智貴君(電子機械工学科1年)

画像処理部門は、高校のときから取り組んでいました。高校時代は、なかなかプログラムが理解できず苦しみました。そのため、直線の部分しか走らせることができませんでした。

今年は、自由工房のオープンセミナーで画像処理の講習を受けました。そのときにいただいたプログラムをある程度理解し、調整を続けてきました。ソフト面はなんとかできましたが、ハードがぼろぼろでまっすぐ走れない状態だったので、ハードの調整もしっかりとやりました。

大会では1走目は途中で止まってしまい、マシンを見るとガタがとりきれず前輪の部分に外装が当たってしまっていました。2走目までの短い時間で、ハンドルを切っても前輪の外装に緩衝しないように調整しました。

2走目は走ってる途中に外装が外れて車高が少し変わってしまい、トンネルをくぐるときに引っかかって抜けられませんでした。観客は爆笑し、自分でも予想外だったので驚いてしまいました。トンネルを少し持ち上げると、走行を続けることができました。しかし、これはルール違反なので、記録はトンネルまでになります。

その後、クランクで残念ながらコースアウトしてしまいました。

完走はできませんでしたが、走行距離の計測に3位になれてよかったです。

来年は、画像処理のプログラムを改善し、もっと安定性のあるプログラムにしたいです。ハードも作り変えて、マシンの完成度を上げていきたいです。来年も、白の軽トラックで挑戦したいと思います。

和田貴大君(情報工学科3年)

初参戦であまり時間もなく形だけの参加となってしまいました。

大会に出るという目標のおかげで、ラインを検出するところまでは持っていくことができました。実際に走行させると、一昨年の画像処理部門の優勝ロボットのようにカーブの切り返しで失敗しました。プログラムは、白が多い部分を走行するようにしています。しかし、コース周囲の床が白いため、カーブに差し掛かるとより白い部分が多い床に向かってマシンが走ってしまいました。

完走できなかったのは残念でしたが、やっただけの成果は出せました。来年こそは、優勝を目指して参加したいと思います。優勝した登先生のスピードを上回るべく頑張っていきたいです。

スナップ