電通大杯 第5回マイコンカーラリー大会参戦記

2012年2月11日(土)、大阪電気通信大学寝屋川キャンパスの自由工房にて、電通大杯「第5回マイコンカーラリー大会」を開催しました。北海道から沖縄まで全国各地から74台のマイコンカーが集まりました。今年は、大学生の参加もあり一般部門に今まで以上の参加者がありました。

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コース

コースの全長は39.02mです。

今年のコースは、ジャパンマイコンカーラリーと同様に、レーンチェンジにガードレールを取り付けた。これにより、勢いにまかせたドリフト気味のレーンチェンジが不可能となりました。下り坂直後にあるレーンチェンジは、コース最難関となり、高度な速度制御と、車体制御のプログラミングが要求されました。

レポート

今年度の電通大杯は、学生達が自ら電通大杯実行委員会を立ち上げ、企画運営を行いました。

初めての試みであったことと、委員会の立ち上げが遅れてしまったため、準備期間も少なくなり、当日までは多くの苦労がありました。

大会告知期間が短かったにも関わらず、これまで電通大杯にご協力くださった先生方のお力添えをいただき、多くの参加者があり開催することができました。

大会は、高校生と一般参加を分けて周回タイムを競いました。部門は、高校生はAdvanced ClassとBasic Classを分け、一般の部と電通大杯の最大の特徴でもある画像処理部門を設けました。

電気通信大学自由工房からは、一般の部に中井智貴君(電子機械工学科2年)、安慶名将君(電子機械工学科3年)、鹿島健吾君(電子機械工学科2年)、三原和也君(通信工学科1年)、大西祐喜君(通信工学科1年)、画像処理部門に中井智貴君(電子機械工学科2年)が出場しました。1年生にとっては、初めての大会となりました。

こちらのページでは、大会レポートをまとめます。電通大杯実行委員会のレポートは、、コチラのページにまとめました。

大会の感想

中井智貴君(電子機械工学科2年)

実行委員長をしつつ、選手として大会に出場するのは、厳しいものがありました。

マイコンカーの調整は時間がかかるため、夜遅くまで調整を行いました。今回の大会では車体自体を大きく変更することはなかったのですが、長年使用した車体の総点検、モータ、ギアの取り替えなどを行いました。またコースを読み取るセンサを変更したため、車体の動作が悪くなり、プログラムを考えなければならなくなりました。

しかし、ハードの調整に時間を取られてしまい、プログラムを修正する時間がかなり少なかったです。

実際、部品の交換をしたからよかったかどうかはわかりませんが、今回の大会で大きく学べたことがありました。

それは、基本が大事だということです。今更だと思いますが、なかなか気づかないことでした。

私は、マイコンカーに取り組んで5年目になりますが、改めて今大会の為にマシンを調整して、それを感じました。

モータの調子が悪い状態でいくら走らせたところで、いい走りはできません。ラインセンサが曲がっている状態で走らせても完走することはできません。こんな当たり前の事に気づくのにかなりの時間がかかってしまいました。

自分ではわかっているつもりでしたが、実行できていないために今大会で成績がふるわない原因だったと、私は痛感しました。

ハード面だけでなく、ソフト面でも同じようなことが起こっていました。今考えるとなんでこんなプログラムを書いているのかわからないぐらい迷走していました。基本からどんどん外れていき、結局手が付けられない状態までいきそうになっていました。

センサがねじれている事に気づいたのは、大会前日です。大会当日の朝に修理し走らせたとき、きれいに完走して、この1週間なにをしていたのだろと反省しました。

しかし気づけなかったことは事実であり、基本をわかっていないということが自分で理解できてよかったと終わってから思う事もできました。

一般の選手として大会に参加し、結果は良くなかったですが、5年目の区切りとして充実したと思います。


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安慶名将君(電子機械工学科3年)

新作したマシンは、幅広・低重心をマシンのコンセプトで作成しました。

幅が広いため、新ルールのレーンチェンジにあるガードレールに接触しやすい設計でした。その上、マシンのパーツは、ほとんどがアルミで作製しており、1082gと重く、ハンドルを切る際の初速が遅くなりやすかったです。そこで、前輪のタイヤ幅を若干狭くしてタイヤ自体の抵抗を少なくし、ハンドルを切りやすくしました。その結果、ハンドルを切る速度が、幅を狭くする前に比較すると向上しました。

こうした工夫で、ガードレールに接触せずに走行できるようになりました。

試走会の時点で、一回目は通常走行時のモータの出力を80%で走らせたところ、難なく走行しました。そこで、2回目は通常走行時のモータの出力を90%で走らせたところ、レーンチェンジのガードレールに後輪が接触しましたが、完走はできました。

本番では、1走目はモータの出力を80%にして走らせて、13.00秒で完走しました。2走目は出力を100%にして走らせ、12.41秒とタイムを短縮できました。

昨年11月6日のテクノフェア併催のMCR練習会では、自分のマウスは完走率が50%で、タイムも1周を15.83秒でした。その時と比較すると、タイムが速くなり、完走率も向上しました。しかしながら、順位は欄外でした。次の大会に今回のマシンを出す際は、改良が必要だと考えています。

改良する点としては、いくつか考えています。

重量が重いので、マシンのボディ部分をカーボン素材にしたり、ボディの不要な部分を切り落としたりするなどして、軽量化します。

現在、操舵部や駆動部のモータを高校生の部で使用されているモータを使っているので、必要な部分を出力の高いモータに変更し、ハンドルを切る速度や、マシンの加速性能を向上させたいです。

大会出場は、今回を最後にしようと考えていたので、今までのデータ等をまとめ、後輩に技術の引き継ぎたいと思います。


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鹿島健吾君(電子機械工学科2年)

今回の電通大杯では様々な事やトラブルがありました。

まず、大会の5日前に動力部のギア比を変更しました。もともと、私のマシンはデファレンシャルギアを搭載する為に作ったようなもので、ギア比やそれによる速度などは気にしていませんでした。

また、その特殊な動機なために、大会などではとりあえず完走すればいいや、という考えでした。しかし、大会の5日前に練習コースで走らせたとき、何かが物足りなかったのです。去年の電通大杯では一応の完走をしているし、かといって前と同じ速度で完走したところで面白くない……。そこで思いつきました。「そうだ、ギア比変えよう」と。変えるためのギアはすでにあったので、とりあえずギアボックスを2日で作りました。これにより速度は上がりましたが、やはりプログラムの調整が必要になりました。しかしそれは、調整できるだけの余地ができたということで、仕方がないと思います。

また、速度が上がったことによりセンサーアームの長さについて考える必要が生じました。そこで、とりあえずスゴク長くしてみました。その状態でプログラムの調整をしていたのですが、周りの友人からは「長すぎるからダメだ、時間も無いし短くしたほうがいい」と言われました。それでも、自分の納得がいくまで何とかなりそうなプログラムをいくつか試しました。その上で、やっぱり無理だな、と納得がいったので中間の長さに変更しました。これが2日前の出来事です。短くなったので、またプログラムの変更を行いました。

しかし、やはりカーブだけでなくストレートですら不安定な状態で上手くいかないので、泣く泣く最高速度をプログラムで下げて調整することにしました。それでも、去年よりはマシな速度になりました。

そして大会当日。ある程度のことをすまして、練習用コースで走らせようと思っていました。しかし、大会前の車検で3回引っかかってしまいました。3回とも、車高が低すぎて坂道で車体を擦ってしまうということでした。しかも、その最中に後輪ステアリング用サーボをとめているところが割れてしまいました。これは接着剤で対応できる範囲でしたので、なんとかなりました。とにかく、急いで車高を高くする必要がでてきました。

私の車体は、ステアリングブロックと車体の上板と下板を支えている軸にスペーサーをかませて調整しています。そのスペーサーは4セット必要なのですが、1セット足らないので、ナットなどを組み合わせてなんとか調整しました。最適な高さを探し出すために3回も引っかかってしまったのです。また、スペーサーの交換にはコツが必要で、想定外のことで焦っていた私にはとても厳しかったです。とにかく、下板のスペーサーを減らすことで車高をあげ、車検をクリアしました。

そしてようやく1走目。大体のコースアウトポイントは今までの調整でわかっていたのですが、今回はまったく予想外な箇所でコースアウトしました。驚きのあまり、緩衝材に蹴躓いてしまったほどです。

急いで控え室で車体のチェック。すると、先ほど車高を高くするために少なくしたスペーサーを無理やり留めていたようで、車体が横に湾曲していました。また、ステアリングブロックのねじ止め部をなめてしまっていました。この2つにより、ステアリングブロックのねじが外れてしまい、操舵できなくなってしまっていたのです。湾曲はとりあえず、ステアリングブロックと上板のスペーサーを増やすことで調整しました。ねじがなめて外れてしまうのは、応急処置として長いねじをギリギリまで入れ込むことでごまかしました。

車体の大きな不備を直すことができたので、やっと練習コースでプログラムの調整が行うことができます。しかし、私の車体にとっては一番のセールスポイント、レーンチェンジを走ることができません。これは、速度が上がったことと、今回から存在するガードレールによるものです。速度上昇により、サーボのハンドリングが遅れることと、平行移動するためにどうしてもガードレールに衝突しコースアウトしてしまうのです。プログラムも色々試しましたが、どうしても無理なのだったので、すごく泣く泣く普通に走らせることにしました。これでレーンチェンジはクリアしました。

次にクランクですが、これの前にまず車体のがたつきを直すことにしました。

前までは速度が遅くて無視できていたのですが、速度上昇により無視できなくなってしまいました。元々アッカーマンは、ハンドルを車体のセンターに持ってくるのが個人的に難しいのですが、それが前後に搭載されているので、さらに難しいのです。しかし、今更そんなことは言っていられないので、前日に思いついた調整方法を試してみることにしました。どうやらそれが上手く行ったらしく、ストレートでしっかりとセンターを走れるようになりました。

しかし、それでも練習コースのクランクが走りませんでした。プログラム的にも車体的にもできる時間での最善は尽くしたので、そのまま大会に出ることにしました。最初のクランクに差し掛かったとき、もうコースアウトした車体を取り上げる構えに入っていました。すると、なんと最初のクランクをクリア!! その後のレーンチェンジやクランクもクリアし、まさかの完走することができました。本当にびっくりしました!!

どうやら、今までクランクが安定しなかったのは車体のがたつきが原因だったようです。また、練習コースのクランクで走れなかったのは、窓から入る光が原因だったらしいです。とにかく、完走できたのは本当に嬉しかったです!!

次回に向けての目標としては、まずステアリングブロックを交換すること。次にちょうどいい高さのスペーサーを複数確保すること。あと、余力はあれば電池のパック化。これを目標にしていきたいと思います。

また、気持ちの面でも、確かに完走は嬉しかったのですが、本来の最高速度で走れなかったことや平行移動を封印してしまったことがとても悔しかったので、気を持ち直して頑張って行きたいと思います。


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三原和也君(通信工学科1年)

電通大杯では、同じ新メンバーの大西君よりも速く完走できてよかったです。

1走目は14.38秒でした。走行ログをだして、速度をあげました。2走目は14.31秒でした。2回とも完走し、2回目のタイムが良くなっていました。

今年1年間マイコンカーをして、自分のハード面の弱さがよく分りました。防衛大の瀧田教授が大会の講評で述べておられたように、「ネジの緩みは気の緩み」という言葉がよく当てはまりました。

私は、高校は普通科だったので、自由工房に入ったときは、はんだ付けや図面の書き方や機械加工も何一つ解りませんでした。この1年間やり方を教しえていただき、ここまできました。

自分のマシンは2駆で デジタルセンサー、デジタルサーボで車体の重心が後ろ寄りで車高も高いので、高速でカーブに行くと片輪が浮いてそのまま飛ばされるというのが分っていました。そのため、カーブで速度を出せませんでした。

マシンの性能を知って初めて速度を出せるので、次のマシンは車高を下げて、重心を中心にするなどして、高速でカーブを曲がれるマシンを作りたいと思います。そして今年の安慶名さんのタイムより速くなりたいです。


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大西祐喜君(通信工学科1年)

私は、夏休みにマシンを製作し、今回の電通大杯を目指して今までマシンの調整を行って来ました。

本走の1走目では坂下レーンチェンジで落ちてしまい、完走することが出来ませんでした。2走目は、1走目よりスピードを落として走行させ、完走できました。走行タイムは14.44秒で、試走の時よりも0.2秒ほど遅かったです。

試走や練習ではコースアウトせずに走っていたのですが、やはりまだ安定が良くなかったと思います。走行タイムが遅かった主な原因としては、直線でスピードを最大にしても加速が弱く感じたので、ハード面があまり良くなかったのではないかと思います。特にカーブトレースが悪かったことが、好タイムを出せなかった原因になったと考えています。

春休みに新しいマシンを製作するので、ハードの完成度を向上させるように努力したいです。そして、カーブ調整に今までより多くの時間を割り当て、カーブトレースを綺麗にするように努力したいです。

大会では、たくさんのマシンを間近に見ることができました。他の選手のマシンの走行を見た感想は、一般クラスのマシンは10秒台を出すマシンが多く、実際に走行を見るとかなり速くて驚きました。

防衛大学校の滝田教授の画像処理部門のマシンは、走行が速い上にカーブなども綺麗で何か別次元の凄さを感じました。マイコンカーを始めてから初めての大会で参加者の人数も多くいろんなマシンを見ることができて良かったです。


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