「電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト2009」出場記
2009年11月1日(日)、大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス 実験センター5階において、「電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト2009」が開催されました。
従来のレスキューロボットコンテストに参加しているチームや、二足歩行ロボット競技会で活躍している社会人など18体のエントリーがありました。自由工房からは、中島誠君(メディアコンピュータシステム学科4年)と高橋裕一朗君(情報工学科2年)が、大電通駒鳥で出場しました。高橋裕一朗君が見事3位に入賞しました。中島誠君はファーストミッションを1位で通過。ファイナルでは残念ながらゴールできなかったものの、ヴイストン賞を受賞しました。
コンテストへ向けて、準備
競技は2.1m ×1.75mのフィールド内で、ヒト型ロボットがトンネルをくぐり、段差を乗り越えて、要救助者の周囲にあるガレキを除去して、要救助者をいかに優しく早くゴールまで搬送するかという競技です。
この競技会に参加するために、KONDOのKHR-3HVを購入しました。ロボットの組み立ては、1〜2日でできましたが、初めての二足歩行ロボットのモーション作成には苦労しました。各タスクのモーションができあがり微調整にとりかかった時に、原因不明のエラーでプログラムが消えてしまうといトラブルがありました。プログラム担当の中島君は、ショックで1日寝込んだそうです。気を取り直して、テスト撮影していた動画を参考にしながら、プログラムを作り直しました。
当初、2体のロボットで出場する予定でしたが、モーション作成中にサーボを燃やしたり、機体に負荷をかけたりで1体が棄権せざるを得ない状態になりました。幸い、ヒト型レスコンはオペレータが異なれば、ロボットは同じ機体でも出場できるので、大電通駒鳥をそれぞれが操縦することで急場を凌ぐことができました。
「電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト2009」当日
競技には12体のロボットが出場しました。ファーストミッションの上位6名がファイナルに進出できます。中島君はファーストミッションは、残り時間ポイント:128、審査員ポイント:276、計:404で1位でした。審査員ポイントは300点満点なので、非常に高い評価です。高橋君は、残り時間ポイント:39、審査員ポイント:253、計:292で4位通過でした。
ファイナルミッションは、高橋君は時間切れで人形を救助できなかったものの、審査員ポイント202で3位に入賞しました。中島君は、人形を3回取り落としてしまい要救助者への危険行為で残念ながら失格になってしまいました。
二人以外でファイナルミッションに進出したのは、普段は二足歩行ロボット競技バトルで活躍している社会人でした。今大会は、フィールドが自由工房に常設されているレスコン用フィールドだったので、事前調整ができるなどホームの利があったのは、確かです。それでも、KHRを1ヶ月前に組み立てて一からチャレンジしたことを考えると、これは素晴らしい成績だったと思います。
大会の感想
中島 誠君(メディアコンピュータシステム学科4年)
段差乗り越えの時、着地マットが想定よりも奥の方にあったので、ちょっと辛かったです。それ以外のタスクは、練習中より、ずっとよくできました。大会前にプログラムが消えるトラブルがあり、モーションを作り直す苦労があったけれど、その分、かっちりと作り込んだことになって結果に現れたのだと思います。いわば、ホームゲームだったので、他の参加者に比べて有利だったこともありますが。
ファイナルミッションでは、人形を助けることができませんでした。救助モーションは煮詰め方がまだまだ不足していました。運任せではなく、100%確実に成功するモーション作りを考えなくてはいけないと反省しています。
二足歩行ロボットで活躍している社会人の方々の、タスククリア方法を見るのは、とてもよい勉強になりました。特に、ヴイストン株式会社の今川さんのエキシビションは驚きました。一つのモーションでトンネルくぐりと段差乗り越えができるとは思っていませんでした。
優勝した當田秀稔さんのロボット「YOGOROZA」が、トンネルの中をクモのように後に進んでいくのが速かったです。大電通駒鳥も手足を改造すればできると思いました。ケルビム(岩気 裕司氏/ロボットフォース)もキレイに前転して段差を越えるのがすごかったです。他の方々の競技を見て、どういう風に動いているのかもっと研究していきたいと思いました。
ヒト型ロボットは、モーション作成も操縦も経験がモノをいうと実感しました。1ヶ月くらいはトリム調整などに時間を掛けたいです。
ヒト型ロボットは車輪で動くロボットよりも、ロボットを知らない観客にとって何をしているのかが分かりやすく、反響があるのが楽しいです。
高橋裕一朗君(情報工学科2年)
ヒト型ロボットは、事前に用意したモーションを再生することしかできないため動きに自由度がなく、操作が難しかったです。
競技に出場して、レスコンとは反応が違うことに驚きました。従来のレスコンはフィールドが広く離れたところでロボットが動いているから、目の前で見ることができるヒト型レスコンは楽しいのだと思います。その分、プレッシャーも大きかったです。子ども達の声援が大きくなったときは「絶対、助けないと!!」と、ヒーローになったような気分でした。
大会が終わったので、今バラバラになっている予備機のKHRを組み立てたいです。まず、大電通駒鳥と同じようにして、そのあとモーションも作り込んでいきたいです。
できれば、本番のレスコンで使ってみたいです。ダミヤンは体重が重いため、を助けられるかどうかは微妙ですが、ヒト型ロボットは、狭いところに行けるのでガレキ除去などができたら面白いと思います。
関連サイト
- 公式サイト
電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト 2009 - レスコン公式サイト
レスキューロボットコンテスト