「電通大杯 ロボット相撲大会」レポート
 2008年3月15日(土)に、寝屋川キャンパスの自由工房にて「第1回電通大杯ロボット相撲大会」が開催されました。
 2008年3月15日(土)に、寝屋川キャンパスの自由工房にて「第1回電通大杯ロボット相撲大会」が開催されました。
自由工房では、学科に関係なくものづくりに関心をもつ学生が集まり、いろいろなプロジェクトに取り組んでいます。
本年度は、オープンセミナーでロボット相撲やマイコンカーラリーを製作してきました。自由工房で製作したロボットで大会にも参加し、大西真司君(電子機械工学科4年)と三宅教仁君(電子機械工学科2年)の2名と高木室長、自由工房協力者10名が全日本ロボット相撲大会の全国大会に進出しています。
ロボット相撲とは
1990年に、富士ソフト株式会社が第1回全日本ロボット相撲大会を開催した。第5回大会より文部科学省の後援と全国工業高等学校長協会の共催を得て、高校生大会も開催されるようになった。
参加ロボットは、競技開始時のサイズが幅と奥行きが各20cm以内、重量は3kg以内と規定されている。出場するロボットは、プログラムを搭載し、センサで状況を感知して動く自立型と、操作員がラジコンプロポでロボットを操縦するラジコン型の2種類がある。部門は高校生の部と、誰でも参加できる全日本の部がある。
ロボット同士が、直径154cmの鉄板土俵でぶつかりあって勝負する。相手ロボットを土俵から落せば1本取れる。試合時間は3分間3本勝負。時間内に2本先取した方が勝者となる。
「電通大杯 ロボット相撲大会」とは……
19年の歴史を持つロボット相撲は、競技人口も多く、長年参加している方々と新たに参戦した初心者のレベルの差が非常に大きいのです。
ロボットを製作するためには、機械設計・加工、基板作成、プログラミングまで幅広い知識が必要なため、一朝一夕に完成できません。また、土俵の上で勝負することで、自分のロボットの弱点を洗い出し、ひとつずつ改良していかなければ、強いロボットにならないからです。
自由工房では、ロボット相撲歴の長い方々を技術講師として招いて実践的な総合学習をしてきました。全国大会に出場したことがあるロボットを間近で見せていただいたり、セミナーや練習会で強いロボットと勝負する機会を定期的に設けてきました。
その結果、前述のように2名の学生が地区予選を勝ち抜いて全国大会へ出場しました。
今回の「電通大杯
ロボット相撲大会」は、自由工房のオープンセミナーの総括として企画されました。セミナーの参加者がこの1年で培った技能と技術の成果発表の場です。さらに、一般の高校生や社会人にも参加を募りました。
より多くのロボット製作者と対戦し、技術交流することで、参加者全員が来年度に向けてよりよいロボット製作をするためのアイデアを得、モチベーションを高める狙いです。
今回は初めての大会なので、運営スタッフも慣れないことが多く準備が大変でした。スタッフは、朝9時に集合し、高木先生の指示のもと会場設営に励みました。
ロボット相撲はセンサで動くため、土俵のクオリティが勝負に影響します。土俵の表面は黒く塗られているのですが、ロボット同士が烈しくぶつかりあうとすぐに塗料がはげてしまいます。スタッフメンバーは、参加者が気持ちよく対戦できるよう、マジックで土俵を丁寧にメンテナンスしていました。

 
  
   
  
   
 
トーナメントの結果報告
本来の大会では、自立型とラジコン型はそれぞれの部門でトーナメント戦を行いますが、電通大杯では、混在でトーナメントを行いました。ラジコン型が自立型と対戦する場合は、行司が仕切った後、5秒カウントしてから操作員がロボットを操縦するルールです。これは、自立型ロボットが、5秒経過してから動作するようにプログラミングされているためです。
また、全国大会出場経験者をAグループ、未経験者をBグループに分けました。これは、なるべく性能が近いロボット同士で試合をして参加者にロボット相撲を楽しんでいただくこと。そして、試合の中で自分のロボットの弱点を発見することを目標としているからです。そして、参加者全員がたくさんの試合経験を積むために、敗者復活戦を設け試合数を多くするように工夫しました。
 
  
  
  
 トーナメントで勝ち上がったロボットと、敗者復活戦で勝ち上がったロボットの3台で優勝決定巴戦を行いました。
一般の部Aグループは、3本勝負の巴戦で決着がつかなかったため、1本勝負の延長戦を行いました。
 
  
  
  
 自由工房からは、一般の部Aグループに、大電通OS1(大西真司君)、大電通SDC(三宅教仁君)、Bグループに大電通未来(林雄一君)、大電通桜狼(森翔一君)、六次元D3(平窪一貴君)の5名が出場しました。
大電通SDCは、全国大会優勝ロボットの同型機「黒津崎?」と1回戦で当たりました。1本目は両者一歩も引かぬ取り組みで、6回の仕切り直しとなりました。最後に大電通SDCの動きが鈍くなったところを一気に攻められて、惜しくも敗れてしまいました。
大電通OS1は1回戦で対戦した紀北VER4に最初の1本こそ取られたものの、続けて2本をキレイに決めて勝ち上がりました。製作者の大西君は、全国大会出場後に、ブレードをより鋭い刃に変えて、相手ロボットとぶつかった時に確実に下に潜り込めるようにしたといいます。
ところが、2回戦で虎穴と対戦した時には、審判の合図後5秒立ってもロボットが動かずに一方的に押し出されて負けてしまいました。ロボット相撲は、対戦相手との相性を見て戦術パターンを変化するのですが、ボタンの選択ミスをしてしまったということです。
一方、Bグループに出場したメンバー3人は、大電通未来がシード、六次元D3がトーナメントを勝ち上がり、大電通未来も敗者復活戦を経て優勝決定巴戦にと駒を進めました。
試合の様子を動画で紹介します。
 【動画】紀北VER4 VS 大電通OS1
 【動画】紀北VER4 VS 大電通OS1 【動画】虎穴 VS 大電通OS1
 【動画】虎穴 VS 大電通OS1 【動画】黒津崎? VS 大電通SDC
 【動画】黒津崎? VS 大電通SDC
  【動画】六次元K1 VS 紀北VER4
 【動画】六次元K1 VS 紀北VER4 【動画】六次元D3 VS 大電通未来
 【動画】六次元D3 VS 大電通未来 【動画】KUMI号 VS 六次元D3
 【動画】KUMI号 VS 六次元D3
大会を終えて……
今回の大会には、後援いただいた富士ソフトABC株式会社の金井健氏(全日本ロボット相撲大会事務局事務局長)が視察に見えていました。
金井氏は、「強いロボットを作るためには、試合数をこなすことが重要。土俵の上で戦って、弱点を発見し改良することでロボットの性能が上がる」と指摘しています。同じ動画を何度も繰り返して見ることで、新たな発見ができるとアドバイスもいただきました。
大会に参加した高校教諭の方からは、「自由工房は、それぞれが個性あるロボットを作っている。校内での練習は同じタイプのロボットばかりになってしまうので、遠征してきた甲斐があった」とコメントをいただきました。
これまでロボット相撲は、他校との交流会があまり活発に行われていませんでした。ロボット相撲は、絶対的に強いタイプのロボットが存在しません。それぞれ得意とする相手や苦手なタイプのロボットがあります。グループ内で同じタイプのロボットと試合をしているだけでは、全国大会で勝ち上がることができません。
ロボットを製作するためには、負けた経験と勝った経験の両方が必要なのです。実際に作ったものを動かさなければ、次のステップに進めません。
また試合経験が少ないと、土俵に上がった時に緊張してしまい、スイッチを間違えたり、ロボットの羽を上に固定するのを忘れてしまうといった基本的なミスを起こしがちです。たくさんの場数を踏むことも勝負に勝つためには重要なのです。
今年度、全日本大会に出場した大西君は、自由工房に参加してロボット製作を始めました。機械加工もイチから覚えたので、とても大変だったといいます。今大会の経験も活かしてロボットを改良し、第20回大会では、全国ベスト16を目指したいと抱負を語っていました。
大阪電気通信大学自由工房では、来年度も引き続きロボット相撲の他、さまざまなプロジェクトを通じて、ものづくりの楽しさ体験しながら実践的な学習を行っていきます。
 
   
  
   (テキスト:三月兎ロボット・ファン.net)
 (テキスト:三月兎ロボット・ファン.net)

