サンリツオートメイション杯「第10回レスキューロボットコンテスト」競技会予選
2010年7月4日、サンリツオートメイション杯「第10回レスキューロボットコンテスト」競技会予選が実施されました。自由工房からは、「救命ゴリラ!B」と「救命ゴリラ!S」の2チームが出場しました。
2チームに分けたのは、レスコンプロジェクトの人数が増えたため、全員がロボット製作と競技に参加できるようにと考えたためです。両チーム、それぞれのコンセプトでロボット製作にとり組みました。
救命ゴリラ!Sチーム(銀チーム)のロボットは、移動機構に特徴があります。3台のロボットは、それぞれ特殊な路面に対応できるように設計しました。救助機構は共通化しています。
救命ゴリラ!Bチーム(黒チーム)は、さまざまな災害現場やガレキの形状を想定し、どんな状況にも対応できるように3台の違うタイプのロボットを製作しました。それぞれ救助機構が違います。
今年は、競技会予選に出場するためには、5月下旬のビデオ審査を通過しなくてはなりませんでした。ビデオは、ロボットが平地で直進・旋回ができる、ダミヤンを救出するという競技会予選で最低限求められる機構が完成していることをアピールするものです。このビデオ審査で、エントリーしていた23チームが20チームに絞られました。
昨年のレスコンは、ロボットのコンセプトや完成状況を審査員の方々の前でプレゼンテーションする中間審査会が行われました。今年は、本選を簡略化したフィールド内で、持ち時間8分で競技会予選が実施されました。ビデオ審査・予選競技会とマイルストーンが設けられ、参加者には従来より厳しいマネージメント能力が問われました。
「救命ゴリラ!B」と「救命ゴリラ!S」は、ビデオ審査を通過し、競技会予選に出場権を得ました。予選の結果、ポイント上位7チーム、アイデアを評価された3チーム、主催者枠2チームの計12チームが、8月に開催される本選へ出場します。救命ゴリラ!Bと救命ゴリラ!Sは、高得点をとり本選出場権を見事獲得しました。
救命ゴリラ! B
- キャプテン
- 高橋裕一朗君(情報工学科3年)
- オペレーター
- 1号機:浦中雄太君(電子機械工学科2年)
- 2号機:廣澤勝成君(電子機械工学科2年)
- 3号機:高橋裕一朗君(情報工学科3年)
- ヘルパー
- 芝 和亮君(電子機械工学科2年)
- 工藤裕久君(電子機械工学科2年)
- 電波管理
- 三輪好輝君(情報工学科3年)
- サポート
- 小國翔平君(電子機械工学科2年)
- 浦野蒼士君(電子機械工学科2年)
家ガレキに特化している1号機が、家ガレキに急行。家ガレキの壁が練習時より高い位置にあったが、難なく外すことに成功しました。
その間に、2号機は、ゲート近くの赤ダミヤンの周囲にあるガレキを除去した後に、1号機と交替するために移動。これは、1号機のアーム幅が大人ダミヤンに対応しているため、救助するダミヤンを交替する必要があったためです。
2号機は打ち合わせ通りに家ガレキの近くまで行きましたが、ヘタに動いて私有地に入るとイエローフラッグが出てしまうため、救助交替するタイミングが取れず待機しました。1号機は、2号機に引き渡すためにダミヤンを路上まで引き出しましたが、ひきずる時間が長すぎると判断されてイエローフラッグをうけてしまいました。
この間に3号機は、路上ガレキを除去。バンプの上に絨毯を敷き、ダミヤン救出後の通路確保とサポート活動を行っていました。
結局、ダミヤンの救出は、1号機が家ガレキの中にいたダミヤンを横向きのまま救助にチャレンジして成功。2号機は赤ダミヤンの元に戻りこちらも救助しました。
残り時間をわずかに残して、2台のロボットがダミヤンの搬送を開始。ゲート近くにいた2号機はギリギリ搬送完了しましたが、1号機はタイムアップとほぼ同時の帰還で、搬送完了は認められませんでした。息を詰めて応援してくれていた場内の観客からも、一斉にため息が洩れました。
競技会予選では、ロボットに搭載した機構やアイデアは、十分に発揮することができまし。それだけに「救出作戦を変更した時間帯が悪かった。もう少し早く決断していれば、時間内に搬送できた」とメンバーは悔しそうに振り返っていました。今回、高橋君がキャプテンとオペレータを兼任していましたが、これも判断が遅れた一因だったと思われます。本選では、オペレータを2年生に任せ、キャプテンは作戦全体を統括できるようにしたいと考えています。
救命ゴリラ! S
- キャプテン
- 中島誠君(コンピュータサイエンス専攻1年生)
- オペレーター
- 1号機:上殿泰生君(機械工学科1年)
- 2号機:齋藤佑一君(電子工学科4年)
- 3号機:中井智貴君(電子機械工学科1年)
- ヘルパー
- 中森智史君(電子機械工学科1年)
- 鹿島健吾君(電子機械工学科1年)
- 電波管理
- 中村祐一君(電子機械工学科1年)
- サポート
- チグアラ・マックス(情報工学科3年)
1号機は単独活動で紫ダミヤンを救出にあたりました。いち早く現場に到着し、ダミヤンの上にあるガレキを除去して安全に救出、搬送に成功しました。
一方で、2号機と3号機は協働で家ガレキのダミヤン救出に向かいました。2号機が家ガレキの横壁を外そうとしたが、家全体が動いてしまい外せませんでした。事前のテストの時には問題がなかったのに、本番では床面の接着が弱くなっていたようです。内側から押せば壁を外せるのでは? と考え、屋根ガレキの除去を行いました。上部から家ガレキの中にアームを差し込み、壁を除こうとしましたが、ダミヤンをアームで巻き込んでしまいイエローフラッグを出されてしまいました。
3号機と交代して、小さなハンドを使って壁を外すことに成功。ここで残り1分となっていました。ダミヤンを家ガレキから救出しようとしたのですが、惜しくも間に合いませんでした。
壁が練習通りに外せなかった時に、とっさに違うアプローチを考えつくことができず、臨機応変な対応ができませんでした。焦ってしまったために、ダミヤンごとアームで抱え込んで、壁を押すという暴挙に出てしまったのが悔やまれます。
想定外のトラブルが起きた時、どのように対処するか? は大きな課題になりました。これは、本選まで何度も練習を重ねることで、どんな場面にでも対応できるようにしたいと思います。
また、3台のロボットが協働してスムースなレスキュー活動をするためには、オペレーター間のコミュニケーションも重要です。オペレータの並び順も練習の中で検討し、よりスムースな協働活動を行い、本選では全ダミヤンの救出を目指したいです。
入部先生からのコメント
2チームとも、レスキュー活動開始後の出動がスムースでした。全機が次々に出動し、ダミヤンの元へたどり着くのも速かったです。その後の救助に関しては、両チームに課題が見つかりました。
本選までは1ヶ月間あります。調整や操縦練習の期間も当然必要ですから、ロボットの改良に当てられるのは、ぎりぎり3週間です。それが、今回の予選で見つかった問題点を改善するための猶予です。
つまり、3週間でできる最善の手を考えなくてはならないわけです。逆算すると、そのためのアイデアだしは、2〜3日で行わなければなりません。予選が終わったばかりで大変ですが、ここで一息つくのではなく、早急に反省会を開き、問題点を抽出。一番効率の良い改善案を考えましょう。
予選では、残念ながらミッションコンプリートは適いませんでした。でも、事前の調整ではちゃんと救助できていたし、けっしてロボットの性能が悪いわけではありません。本選までの1ヶ月間にやるべきことをやれば、結果はかならずついてきます。頑張りましょう。
競技会予選結果
3位:救命ゴリラ! B:185pt
4位:救命ゴリラ! S:160pt
※4位は、160ptが4チームありました。