「第10回レスキューロボットコンテスト」救命ゴリラ! S

メンバー紹介

キャプテン
中島誠君(コンピュータサイエンス専攻1年生)
オペレーター
1号機:上殿泰生君(機械工学科1年)
2号機:齋藤佑一君(電子工学科4年)
3号機:中井智貴君(電子機械工学科1年)
スピーカ
中村祐一君(電子機械工学科1年)
プレゼンテーション資料
↑プレゼンテーションデータをpdfファイルに変換したもの
電波管理
中村祐一君(電子機械工学科1年)
ヘルパー
鹿島健吾君(電子機械工学科1年)
中森智史君(電子機械工学科1年)
ヘリテレ
中島誠君(コンピュータサイエンス専攻1年生)
中村祐一君(電子機械工学科1年)
サポート
チグアラ・マックス君(情報工学科3年)
オブザーバ
立花 勢司さん(OB)


出場ロボット

コンセプト

自由工房の「救命ゴリラ!」は、2006年に開催された第6回大会から連続出場しています。ダミヤンに負荷をかけない救助活動を目指し、毎回ポイント順位で3位以内に入ってきました。Sチームは、これまでの経験を活かし、堅実な救助機構と、あらゆる路上ガレキに対応する足回りに拘った設計をコンセプトにしました。

従来のロボットは、路上ガレキを押しのけて通行していましたが、この方式では救助を待つダミヤンの元へ到着するのに手間取ります。そこで、ガレキ除去をせずに素早く乗り越えてダミヤンの元へ急行するとともに、搬送中にダミヤンに振動を与えない3タイプの足回りを開発しました。

1号機:祭(マツリ)

ダミヤンの首や身体を固定できるベッドは、実際の救急車に搭載されているベッドを模擬した
ロボットの前方に搭載された提灯型カメラは、180度回転し死角をなくし周囲の状況を把握する。

2号機:神輿(ミコシ)

逆V時取付ホイールを採用し、ガレキが車体の下に入り込んでもスタックせずに走行可能。
家ガレキ対応アームは、屋根と壁を外しダミヤンの救助を行う。
家ガレキからダミヤン救助の動画(WMV形式 45.8MB)

3号親機:花火(ハナビ)

正三角形の各頂点にタイヤを搭載したデルタホイールは、ホイール全体が回転し、倒柱ガレキも乗り越える。
5自由度のツインアームで、ガレキ除去・ダミヤン救助の細かい作業を行う。

ダミヤン救助機構

救助機構は、全機ツインアームに統一し、安定した救助活動を可能にしています。共通化することで、開発スピードをあげました。早期にロボットを完成させ、オペレータが充分な操縦練習を積むとともに、機体のバグだしと調整を繰り返しました。

ファイナルミッション

予選をポイント1位で通過し、2位の救命ゴリラ!Bと一緒に、ファイナルミッションを迎えました。
 2号機を先頭にして、順次ロボットがスムースに出動しました。2号機は路上のガレキを押しやり、通路を確保してから、家ガレキの元へ向かいました。アームを使って屋根・横壁を除去していきました。この時、Bチームの2号機と背中合わせの作業となったため、互いのロボットが接触しないように気をつける一方、万一接触するかもしれない可能性を審判団に報告しました。家ガレキから救出した青ダミヤンをアームで引き寄せ、ベッドに乗せると素早く搬送しました。

1号機は、2号機によって確保された通路を進み、赤色ダミヤンの救出にあたりました。バンププレート上に機体をおいたままのガレキ除去は、初めてのチャレンジでしたが、両アームを駆使して、慎重な救助活動を行いました。ダミヤンに大きな負担をかけず救助することができました。

この間に、3号機は2階の黄色ダミヤンの元へ現着しており、1体目のダミヤン搬送を終えた2号機とともに、救助活動にあたっていました。黄色ダミヤンの上には、ガレキが覆い被さっていたため、周囲の状況を2号機のカメラでコントロールルームに送りオペレータのサポートをしていました。

その甲斐もあって、無事に黄色ダミヤンを救出しました。しかし、搬送中に審判からイエローフラッグを受け、ダミヤンに対する棄権行為を告げられました。このため、黄色ダミヤンは元の位置に戻され、再度救出活動を開始することになりました。

この時点で、残された時間はわずか10数秒。残念ながら、黄色ダミヤンをロボットベースまで搬送することができませんでした。

競技中は、イエローフラッグの原因が分かりませんでした。後で判ったことですが、タイヤにダミヤンが接触していたことが、フィジカルポイントを大きく下げていました。事前に対策できていれば、防げた事態なので非常に残念で悔しい点です。

表彰

●レスキュー工学大賞(レスキューロボットコンテスト計測自動制御学会賞)
●サンリツオートメイション杯

スナップ














メンバーの感想

中島誠君(コンピュータサイエンス専攻1年生)

ようやく悲願のレスキュー工学大賞を手にすることができ、言葉では表せないくらい嬉しいです。
 昨年の大会は、総合得点では2位の成績だったにも関わらず、賞を1つも獲得できない屈辱的な大会でした。その悔しさをバネに、昨年大会終了の段階から、例年に増して本気で取り組みました。
 しかし、私自身キャプテンという立場ながら、様々な理由で活動に参加できず、メンバーには多大な迷惑をかけました。それでも、各メンバーが自主的にやるべきことを見つけて、レベルの高い活動を維持し続けてくれたことに非常に助けられました。
そのおかげで、ファーストミッションは完璧と言える活動内容になったと思います。
 ただひとつ、心残りは、ファイナルミッション前の約束だった「救命ゴリラ!として6体全員救助」を叶えられなかったことです。この結果は単純に悔しいです。
 なぜなら、最後の1体を救出できなかったのは、可能性があるとわかっていながら対策を施さなかった問題によるミスだったからです。ミスが100%生じないロボットづくりを今一度考え直させられる結果となり、また新たな課題ができました。
 最後に、きめ細かいご指導を頂きました入部先生、升谷先生、自由工房室長の高木先生、自由工房の各プロジェクトメンバーの皆さん、本当にありがとうございました。そして何より、この目標を達成するために共に頑張ってきたメンバーの皆さんに感謝します。
 ただ一度の頂点に満足せず、このレベルを維持し続けて欲しいと思います。「レスコンに救命ゴリラ!あり!」と言われるような、そんなチームになって欲しいと思います。

1号機:上殿泰生君(機械工学科1年)

私は工学系の学校の出身でもなく、機械に対する知識もほとんど持っていない状態で自由工房に入りました。メンバーの1回生は皆工学系の出身なので、自分はここでなにが出来るのだろう、と真剣に考え込んでいた時期がありました。
 予選の一ヶ月前、Sチームでは各機のオペレーターが決まっていませんでした。そのとき、1号機の整備を頼まれていた私は、1号機のオペレーターに志願しました。チーム、プロジェクトの人たちの役に立ちたかったことと、なにより自分にも出来ることを積極的にやりたかったからです。
 そして予選を無事に通過し、本選のファーストミッションは1位といういい結果を出しました。ファイナルミッションではBチームと協力して救助活動に臨みました。結果としては1体救助できずに悔しい思いをしました。
 総合ポイントは2位でした。だから、表彰式でレスキュー工学大賞がSチームに授与されたときに、本当に思いがけなくて喜びもひとしおでした。
 しかし、今大会で、私は先輩たちが作ったロボットを操縦したにすぎません。来年度は、自分が作ったロボットでレスキュー工学大賞を獲得したいと思っています。

齋藤佑一君(電子工学科4年)

今まで4年間、自由工房でレスキューロボットコンテストプロジェクトで経験してきたことが、今回の大会で大きく活かさせることができました。
 その結果が、今回のレスキュー工学大賞につながったと思っています。
 しかし、自分のなかではもっとロボットをしっかりと作りこんでから大会に挑みたかったという心残りなところもあります。
 今後は、この成果を維持できるチームになっていくようにサポートしていきたいと思います。

中井智貴君(電子機械工学科1年)

第10回レスキューロボットコンテストを終えて、とても嬉しいです。レスキューロボットコンテストでもっとも意義がある賞「レスキュー工学大賞」を獲得することができてよかったと思います。チームリーダーの中島さんは5年目の大ベテランで、今年が選手として最後の大会になるかもしれない中、賞を取ることができてよかったと思います。
 私は、去年までは高校でレスコンに参加してました。今年からは、「救命ゴリラ!」のメンバーとして、レスコンに参加しました。今年で通算3年目になります。
 毎年上位に食い込んでいる救命ゴリラ!チームとしてやっていけるか、先輩方の邪魔にならないかとても不安なところがありましたが、このような結果が残すことができて本当によかったです。
 3号機オペレータとしても、メンバーと力を合わせて救助活動をできたと思います。
 しかし、反省点も多々あります。ダミヤンを3体救出できなかったこと、やろうとしていたことができなかったことなどです。
 来年に向けての課題もあります。書類審査、ロボットの設計は、先輩方が全部やったので、来年は今の2年、3年が主体的になってプロジェクトを進めていかなければならないことです。
 中島さん、齋藤さん、おつかれさまでした。と同時におめでとうございます。「救命ゴリラ!」は、常に上位にいるのに、なぜかレスキュー工学大賞をとれないチームでしたが、ベテランのお二人が、今回、レスキュー工学大賞を獲得することができて本当によかったです。
これからは、僕たちに任せてください。来年度もレスキュー工学大賞を目指し、がんばります。

中村祐一君(電子機械工学科1年)

私は、初めてレスキューロボットコンテスト出場でした。大会では、スピーカーを務めました。本番に向けて、プレゼンテーションの練習は何度もしっかりやっていました。
 大会前日にあった審判練習のためのデモ競技で、プレゼンをする機会がありました。このときは緊張してしまい、制限時間があと何秒なのか分からず、迷いながら話をしていました。それにもかかわらず、終了したときの残り時間が、「0秒」ジャストのスピーチが出来て、これが本番のときの自信につながりました。
 そして大会本番。残り時間に対する余裕と心の余裕があり、落ち着いてスピーカーの役目を果たせました。日頃の練習成果を出せたと思います。
 大会の結果については、レスキュー工学大賞という一番名誉ある賞が受賞できました。ポイント上でも、Sチームが2位でBチームが1位であり、救命ゴリラ!のメンバー全員が毎日、何回も練習していた成果が出ていたと思います。私も、チームが使うソフトウェアの改良で貢献できたと思います。
 今回の大会では、ベテランの先輩方が大勢いるチームの中で、私自身はロボット製作にはあまり貢献できませんでした。けれど、次の大会では、今回の経験を最大限に生かして、活躍できるように頑張ります。

鹿島健吾君(電子機械工学科1年)

今回のレスコンは、レスキュー工学大賞をもらえたことがとにかく嬉しかったです。特に、今年で最後の参加になるかもしれない中島さんがレスキュー工学大賞を貰えることができたということに何よりも感動しました。
 大きな賞をいただいた責任を強烈に感じながらも、今後にむけて、自分のできる範囲のことを精一杯やっていこうと思います。

中森智史君(電子機械工学科1年)

今年のレスキューロボットコンテスト参加を振り返ると、チームとしてなすべきことができていたと感じます。
 今年は、自由工房のメンバーが2つのチームに分かれて大会へと臨むという初めてのチャレンジをしました。レスコン経験者が2手に別れたため、ロボット作りに余裕がない状態になりましたが、早期にロボットを完成させて本番へ向けての練習を繰り返しました。それが、今回のレスキュー工学大賞を受賞できた理由に挙げられると思います。
 私は、大会ではヘルパーという役割を担当していたこともあり、本番でもロボットの動きをすぐ近くで見ることができました。今年度の大会は、他のチームが作ってきたロボットが様々なアイデアをより多く実現していました。なおかつ、そのアイデアで確実に結果を残すチームが増えてきました。
 堅実な作りをコンセプトにした「救命ゴリラ!S」は、確実に動作しダミヤンを救助できる機構ですが、限界が見えているとも感じました。
 来年は、そういった確実な部分は踏襲しつつ、より迅速に救助できる機構や今年からはじめた新しい取り組みをしていきたいと思っています。

チグアラ・マックス(情報工学科3年)

来日する前から、日本のロボットを作る技術にとても興味をもっており、是非その秘術を身につけたいとずっと考えていました。今年大阪電気通信大学に編入し、自由工房の説明会に参加したところ、体験したかったロボット活動があり、しかも人をレスキューするロボットだったのでやりたいなぁと思いました。そのときにリーダーの高橋君の誘いを受けて、僕のレスキューロボットの活動が始まりました。
編入生の僕は、単位数の少なさや生活のためのバイトがあったので、時間的についていけるのかなと不安でした。そうした中で、大学生活に慣れながら、自分が担当していた画像処理のプログラムをひたすら書き、期限までに間に合わせようとしました。しかし、バグが発生したり、操作が難しいと判断されたりしたので、期限通りには終わりませんでした。みんなに迷惑をかけたことをとても反省しています。
今回の大会で、みんなが一生懸命頑張ったおかげで、レスキュー工学大賞を受賞できたと思います。受賞理由のなかで、ソフトウェアの方も評価されたことがとても嬉しかったです。これからも、プログラムに力を入れて頑張って行きたいと思っています。
みんなで忘れられない感動を得ることができて、すごく感謝しています。

立花勢司さん(OB)

今回はオブザーバとしての参加で、SとB両方の指導をしてきました。一時期はメンバーがいなかったのでどうなることかと思いましたが、2チーム編成できるくらいにたくさんのメンバーが入ってきてくれたので本当に嬉しく思います。
 救命ゴリラ!チームに関しては5年越しで悲願のレスキュー工学大賞をとることができたので良かったと思います。
 途中、憎まれ口を叩くこともありましたが、厳しく指導してきた甲斐がありました。これは過去の大会前を振り返り大会近くになるとどうしても「これだけ練習すれば大丈夫だろう」「完璧にロボットが動いているので本番も大丈夫だろう」といった甘えや油断が出てしまうのでそれをなくす為にやったことです。
 これは過去の大会で失敗した教訓です。9回大会は「自分があの時もう少しだけ厳しく言っていれば違う結果があったんじゃないか」と非常に悔しい思いをする場面がありました。総合ポイントは2位だったけど、何も賞を持って帰る事ができず、しかもレスコン工房には完敗でした。レスコンは勝敗を競うロボコンではありませんが本当に悔しかったです。
 今後の目標として近い将来「救命ゴリラ!」より強いチームを作ってレスコンに参加したいと思います。今度は選手としてでなくチームを率いる指導者としてです。それまで強く安定した「救命ゴリラ!」でいてください。
 そしてファイナルミッションの最終競技で一緒に試合がしたいな。