第22回全日本ロボット相撲大会 九州大会
2010年10月3日、福岡工業大学附属城東高等学校で開催された、第22回全日本ロボット相撲大会「九州大会」のラジコン型部門に富田信君(電子機械工学科2年)、石川聖卓君(電子機械工学科1年)、大林尭史君(電気電子工学科2年)、自立型に畠中一輝さんと技術講師の上北 彰さんが出場しました。
レポート
64体がエントリーしたラジコン部門で、石川聖卓君(電子機械工学科1年)の「大電通APO」が3位、富田信君(電子機械工学科2年)の「刃蒼」が4位に入賞。2人は、12月19日に東京両国・国技館で開催される「第22回全日本ロボット相撲大会 全日本の部全国大会」への出場権を獲得しました。
ラジコン部門は、オペレータが操作するため、ロボットの性能とともに操縦技術も要求される難しい競技です。最近は、ラジコン型にセンサを組み込んだ半自立型マシンが多い中で、自由工房はセンサなしに拘り勝負しています。強豪が集まる全国大会でも、厳しい戦いが予測されますが、練習を積んで横綱の座を目指します。
■公式サイト:全日本ロボット相撲大会
スナップ
大会レポート
石川聖卓君(電子機械工学科1年)
9月の北信越大会から、四国大会、近畿大会と地区予選に出場してきました。これまでは、相手に対して作戦を考えるときに弱気になってしまい、攻めることにすこし不安がありました。
しかし、九州大会は、今年最後の地区大会。「後悔はしたくない」という気持ちで、迷いを吹っ切りました。高校時代の自分を思い出し、強気に攻めていこうと決めて挑みました。
その結果、3位に入賞し全国大会出場権を獲得できました。
1回戦の相手は、「海龍G(山口県立田布施工業高等学校)」。緒戦で少し緊張していましたが、立ち合いに集中しました。
センサーを搭載しているということで、動きを読まれるかもしれないという不安がありました。ですが、2本とも相手より早く動き出せ、思いどおりの動きができて勝てました。
2試合
2回戦は、FITーKY(福岡工業大学)が相手でした。
1本目は「相手の角を狙って押し出そう」と決めていました。しかし、距離感を間違えてしまい、外れてしまいました。すぐにもう一度体勢を立て直して、相手を土俵から押し出すことができました。その時に、相手のブレードが破損し、審判の判定で勝利が確定しました。
3試合
3回戦は、「石鎚(愛媛県立東予高等学校)」でした。東予のロボットは、ブレードが強いことで定評があります。「先手必勝!」と、審判の声にタイミングよく合わせて突進し、2本先取で勝つことができました。
4試合
4回戦で当たった魔法の剣R3(福岡工業大学附属 城東高等学校)は、左右に広げたアームの間に網を張ったロボットです。ラジコン型では、アームを使うロボットも珍しい中で、極めて特徴があるタイプです。
同校のロボットとは、中国大会でも対戦しています。その時は、負けてしまいました。その時の経験で、このタイプは、あまり動かず白線ギリギリの所に置いて待つ作戦でくると分かりました。
そこで、自由工房内で練習する時に、ロボットに見立てたダンボールを土俵に置いて、角狙いの感覚をつかめるまで繰り返し練習しました。試合でも、狙い通りに相手を押し出すことができました。練習を充分にしておいて、良かったです。
5回戦(準決勝)
準決勝の対戦相手「南風」(MRS−F)は、高校時代の先輩です。技術と経験では先輩に適わないかもしれないけれど、気持ちの上では「自分の方が!」と思って戦いました。
しかし、1本目は動きを読まれ、ぶつかっていったところを綺麗かわされて逆に押し出されてしまいました。
続く2本目は、逆に相手の動きをかわし右角をとって、押し出すことができました。押し出すことができました。
1−1で迎えた3本目。立ち合いから一気に「南風」を飛ばすことができました。しかし、南風は土俵ギリギリに残っていました。そこを攻めて追い落とそうとしましたが焦ってしまい、相手が体勢を立て直してきて押し出され負けてしまいました。
3位決定戦
順位決定戦は、自由工房の先輩である富田さんの「刃蒼」が相手でした。普段から、一緒に練習しているので、互いに手の内は知り尽くしています。
ブレードは、自分の「大電通APO」のほうが強度があるので、強気で当たっていこうと思いました。
1本目は勝ちました。
2本目に「刃蒼」を飛ばした時、自分の「大電通APO」が先に土俵から落ちてしまった気がしたのですが、審判の判断により勝つことができました。
大会を振り返って
大会を振り返ると、どの試合も相手に臆することなく強気で挑めたことが、よい結果に繋がったと思います。日頃の練習成果を発揮し、審判の合図にタイミングよく合わせて相手ロボットよりも一瞬早く動き出し、ロボットを思いどおりに操縦するこことができました。
準決勝戦で、手の内を知っている「南風」(MRS−F)に負けたのが悔しいです。高校時代からよく知っているロボットなので、もっとしっかり対策をたてておけばよかったと思います。
ここまでの地区予選で、多くの試合経験を積んできました。相手ロボットの形状によっては、ロボットを土俵から押し出せずに真上に跳ね上げてしまうことがあることに気づきました。いろんなタイプのロボット対戦することができたのが、よかったです。
2ヶ月後の全国大会に向けて、予選の経験と反省を元にロボットの形状を改善しようと思います。地区大会では、自由工房のメンバーが手分けして動画を撮影しています。全国大会に出るロボットの試合映像を見て、対策を建てていきます。
九州大会では、立ち合いのタイミングをしっかり掴んで戦うことができたので、この感覚を忘れずに練習を積んでいきたいです。全国大会で悔いが残らないよう、試合までの期間に中途半端なことはせずに、邁進していきます。大会当日は、緊張することなく、相撲ロボットを楽しみたいと思っています。
2年 富田 信君(電子機械工学科2年)
1試合
大会が始まるまではかなり緊張していましたが、緒戦が「熱シー101(山口県立宇部工業高等学校)」でした。重量型ロボットで動きが遅くため、相手をよく見て戦えたので落ち着いて挑むことができました。
1本目は、正面からあたりに行きました。しかし、「熱シー101」を押し出すことができずに拮抗した状態が続き取り直しになりました。
取り直し以降は、「熱シー101」が立ち合いで斜めに位置して角を見せてきたので、簡単に押し出して勝つことができました。
2試合
2回戦は、高校時代の先輩「MT(LBS)」と対戦しました。三豊工時代の同期の友人が補助員についてくれたおかげで、落ち着いてロボットの操縦ができました。立ち合いでも、「MT」に遅れをとることなく、近づいて来たところを角取りする作戦が決まって、2本連取で勝ちました。
3試合
近畿大会の3回戦で対戦した「石槌6(愛媛県立東予高等学校)」と再戦になりました。近畿大会で勝った時と同じように、相手ロボットと間合いを取って近くに寄って来たところを斜めから攻める込む戦法で挑みました。
1本目は、作戦どおりうまく相手の角を取ることができて先取しました。
2本目も同じ戦法で挑んだのですが、「石槌6」のブレードに負けてしまい跳ね飛ばされてしまいました。しかし、相手の操作ミスで「石槌6」が自分から土俵外に飛んでいき勝つことができました。
4試合
全国大会出場権がかかった4回戦。対戦相手の「黒津崎ぴよこ(大分県立国東高等学校)」には、高校の後輩が敗れています。後輩の雪辱を果たすためにも「絶対に勝ち」と、強く思いながら勝負に挑みました。
周りからの情報で、相手はフライングで飛び出してくるかもしれないと聞いていたので、こちらも強気で攻めに行きました、
立ち合いで両ロボットがぶつかりあたった瞬間に、「黒津崎ぴよこ」のブレードがはがれ飛散しました。ルールに基づいて1本取って勝利することができました。運がよかったです。
5試合(準決勝)
対戦相手の「魔女の鼻R2(バルビゾンF)」は、左右に広げたアームに張った網でロボットを絡め取るタイプです。このタイプのロボットについては、事前に学校で対策を立てて、相手ロボットと長い距離をとった角取りの練習してきました。
試合では練習したとおりの動きができていました。しかし、立ち合いで出遅れてしまい、相手ロボットに受け止められて土俵外まで押し出されてしまいました。
2本目は、立ち合いで相手が仕切り線近くにロボットをおいたので「行ける!」と思いました。しかし、完全にこちらの動きを読まれてしまい、これもうまく網で動きを止められ押し出されてしまいました。
3位決定戦
「電通大APO(石川聖卓君:電子機械工学科1年)」とは、これまでの地区大会で何度も対戦してきました。1度も勝っていないので、「今度こそは」と思って勝負に挑みました、
しかし、1本目も2本目も、立ち合いで遅れをとった上に、完全に動きを読まれきれいに飛ばされて負けてしまいました。
全国大会に向けて
9月から各地区の大会を連戦してきました。地区大会全体を通して、緊張からくる操縦ミスとワンパターンな戦法が原因で負けています。年末の全国大会までに、練習を重ね戦法を増やしていきたいです。全国大会には、自信と新しい戦法を身につけて挑みたいと思います。
大林尭史君(電気電子工学科2年)
1回戦であたったのが、「魔女の鼻R4(バルビゾンF)」でした。1本目は斜め横から相手の角をとる戦法をとりました。作戦はうまく決まりましたが、相手の下を通って自ら落ちてしまい1本取られました。2本目は、1本目で相手が動かなかったのを見て横に寄せて斜めに置きました。相手の角に直っすぐ突進する戦法です。しかし、立ち会いの出だしが少し遅れて、逆に相手に角を取られて押し切られました。
結果、2本取られてしまい1回戦敗退でした。
今年は、九州大会が最後の地区大会だったので、なんとしても勝ち上がりたかったのですが、負けてしまいとても悔しかったです。
敗因は、1本目で自爆してしまったことです。痛恨の1本でした。これで焦ってしまい、周囲が見えなくなっているのが自分でもわかりました。今後は、練習を繰りかえし、どんな状況でも落ち着いて戦えるようにしていきたいです。