「ロボファイト12」出場記
大阪南港ATCにおいて開催された二足歩行ロボットバトル競技会「ロボファイト12」に自由工房から3体のロボットが出場しました。
レポート
今回、SRC1.8kg以下級には、35体のロボットが出場しました。その中で、「飛燕」(清家拓也君/メディアコンピュータシステム学科2年)がトーナメントを勝ち進み、4位になりました。
「飛燕」は、準決勝戦で試合開始すぐに投げ技でダウンカウントを先取。勢いに乗って勝ち上がるか! と期待したところで、ロボットの足から異音が聞こえてきました。1歩毎に、ギリギリと欠けたギアの音がリング上に響きました。善戦したものの、スリップダウンを重ねて敗退。
すぐに整備ブースに戻り、3位決定戦までのわずかな時間に、メンバーが力を合わせてロボットをメンテナンスしました。3位決定戦では、残念ながら相手のスピードに翻弄されてあっという間に勝負を決められてしまいました。
しかし、メンバーが協力して勝負に挑むよい経験ができました。
今回は、一般来場者が多く、大きな声で「飛燕」を応援してくれる子どもさんもいました。閉会式後、清家君に話しかけてきてくれて、質問したりロボットを抱いて記念撮影したり、楽しんでもらうことができました。
公式サイト
スナップ
大会の感想
清家拓也君(メディアコンピュータシステム学科2年)
今回は腕と脚を自作のモノに置き換えた「飛燕」で出場しました。
最近はロボットのホームポジションをしゃがみ姿勢にし、重心を下げていたので、市販キットをほぼそのまま組み立てた旧飛燕では膝のサーボモーターの負荷大きくなり短時間しか動かせなくなってしまいました。そこで、今回は、膝のサーボモーターをトルクの高いものに換装し負荷を小さくし、足首を直交軸化することで重心を下げることにしました。腕についてはリーチを長くしたかったのと、軸を増やすことで表現を増やしたかったので新造しました。
出場したSRC1.8kg以下級は、モーションが不安定で危ういところもありましたが、準々決勝まで進むことができました。しかし試合中に脚のサーボのギアが突然壊れてしまい、その試合は負けてしまいました。
原因は、おそらく自重を支えきれなかったからだと思います。短時間で、メンバーのみんなと一緒にサーボの修理をしました。ぎりぎりで3位決定戦に出場できました。
3位決定戦の対戦相手「Trial」は、モーションがとても上手に作られていて、移動スピードがとても速かったです。「飛燕」では、反応が追いつきませんでした。残念ながらなすすべもなく負けてしまい、結果4位となりました。
バトル中に、観客席から「飛燕、がんばれぇ〜!」という声援が何度もあがりました。表彰式後に、応援してくれた子どもさんとお母さんが話しかけてきてくださり、とても嬉しかったです。
今大会で、現状の飛燕の問題点がある程度洗い出されたので、これから改良を重ね、次回は今回以上の結果をさ出るように頑張りたいです。
義澤寿康君(電子機械工学科3年)
今回のロボファイト12に参加するに当たり、機体の完全自作化を行いました。
自作しようと思った理由は、市販キットの機体に作り変えたい箇所が多くあり、今までロボファイトやロボゴング等の競技会で他の学生ユーザーの機体を見てきたことと、自由工房での経験を活かしたい思ったためです。 自作化は初めてのことだったため、部品の作り間違いや、一部設計変更もありました。ロボットは、ようやく、大会一週間前に形になりました。
しかし、ハードウェアはでき上がったものの、肝心の”歩く”、”起き上がる”といったモーション関係は手付かずでした。
毎日、遅くまで自由工房でモーションを作りこんでいたら、突然ロボットの右肩ピッチ軸から白い煙が上がりました。その瞬間、目の前が真っ白になりました。
なんとかサーボを交換し、モーションをCPUに書き込み、コントローラのボタンを押してモーションを再生しようとしたら、モーションが再生されないエラーが発生しました。
原因がつかめぬまま帰宅し、コントローラをHORIの無線PSコントローラから、VstoneのVコントローラに変えたところ通信障害は収まりました。そこから夜通しモーションを作り、会場で試さなければいけないモーションを残し、出発しようとしたら突然、右肩ロール軸のケースが内部で破損し、交換する羽目になりました。
会場についてからフィールドで試す必要のあったモーションは、まったく使い物にならないことが判明しました。他の大学の方からもアドバイスを頂いてモーションを作成し、バトルに出場しました。結局、大会の結果は、初戦敗退という情けない結果に終わりました。
原因としては、急な自作化のために、設計の変更や部品の加工し直しがあったため、モーション作成の時間を作れなかったことが原因だったと思います。
今回の事から、しばらくハードウェアには大きな改造を施さずにモーションの成熟や操縦練習にもっと時間を割り当てていこうと思います。
河口 真丈君(メディアコンピュータシステム学科1年)
初めての競技会出場で、いくつもの反省点がありました。試合リングの状況、ロボットの問題点を把握していなかったこと。ロボットの事前調整が甘く、特に重心が後ろにずれていたこと。そして操縦時のオペレーティングミスです。
初めての大会で分からないことが多かったとはいえ、気合いが不足していたのは根本的な原因です。また、ロボットのトリムを調整するのは、電池を含めハード関係をチェックしてからの方がいいことを学びました。
次回までには、以下の点を改良していきたいです。
まず第一に、ロボットにトラブルが起きやすい場所をチェックし、解決方法を理解しておくことです。次にロボットの基礎バランスの調整、下半身のトリム調整を確実にすること。こうした機体チェックは、厳しくおこなう必要があります。モーションの点では、旋回運動の角度を細かくし、相手に対してフレキシブルに動けるようにしたいです。そして移動時に転倒しないよう、バランスのよい歩行ができるように修正も必要です。
大会に出たことで、今まで漠然としか見えてこなかった問題点が具体的になりました。課題は山積みですが、まずロボットの基礎バランスを取るところから、初めていきたいと思います。
初めて出場したロボット大会は、楽しかったです。大会開始直後に問題が発生し、いろいろ調整したあげくバランスがくずれたのは、残念でした。運だけでも、そこそこの所までいけるのもわかりました。次の大会では、2勝ぐらい勝てるようになりたいです。そのためにも、操縦練習は必要だと思いました。
小野田寛人君(情報工学科2年 )
SRC1.8kg以下級に出場した35体のうち人型が34体を占め、特殊な形の機体はたったの1体であり少なく思われました。また、市販の組み立てキットを組み立てただけ、あるいはそれを少し改造しただけの機体が多かったのは意外でした。ただ、自作機が必ずしも強いわけではないようです。
司会者がおっしゃっていたように、「バランスがいいロボットが強い」というのが、観戦していた私にも感じられました。
自作機のロボットは、たびたびトラブルに襲われていたが、市販キットベースのロボットは、そういったことが少なかったです。市販キットも、モーションの作り込みや操縦次第で軽快な動きを見せていました。
ロボットの形状は、前述したように人型が主流ですが、一言で人型と言っても個性がありました。特に腕の形状に工夫が見られました。主に、人の腕に近いもの、引っ掛ける鉤爪の付いたもの、平べったい板状の手がついたもの、あるいはそれらの特徴を併せ持つものがありました。
攻撃方法は、腕の形状で分類されていました。人間タイプ腕ロボットは、「殴る・押す・投げる」といった攻撃。鉤爪タイプのロボットは、「鍵爪で相手を引っ掛けて倒す」、大きな平べったい板状の手のロボットは、「相手を下からひっくり返す・振り払う」といった攻撃を主体としていました。
また、幾つかの機体は腰にサーボがあり、上体を回転させられるようになっていました。腰軸のある機体は背後から攻撃された場合でも、腰を回転させて腕を振り回すことで反撃を可能になります。腰軸のない機体は、相手に背後に回られると、一方的に不利になっていました。
今回の大会の出場していた特殊な形の機体は、蛙に似た形をした「ガジェット・フロッグJR.」がいました。体の前面に長い舌を備えたロボットです。この舌は先が広がった形で、二枚の板が少し離れて付いており、丸めた舌を伸ばして攻撃していました。しかし、攻撃の際に長い舌がリングについてしまい、何度もスリップを取られていました。
私は、今回の大会を見学して、相手の上から攻撃を工夫してみるのはどうだろうか? と考えました。上からの攻撃をするロボットは稀で、攻撃を受けた機体はスイッチに当てられて電源が切られ動けなくなっていました。
上からの攻撃では、相手を倒しにくいだろうとも思いましたが、市販キットの中にはスイッチが上部にむき出しになっているものもあります。また、どの機体も上からの攻撃にあまり備えられていないように思うので、そこを突いた攻撃を工夫すると面白いのではないかと考えました。他にも、攻撃してきた腕を叩き落とすことができればスリップを取れるのではないかとも考えています。
福田拡司さん(技術講師)
私は今回サポートということで、動画の取りまとめ等を行いました。
初参加のは河口君は、市販機で参加しましたが、経験を積んできた義澤君は自作機、清家君は市販キットに大幅な改造を施したロボットで参加しました。二人とも、市販キット機で参加していたときよりも格段に動きがよくなっていました。
しかし、操縦の練習量が少ないため、機体性能に頼った動作がまだまだ抜けていません。今後はプロジェクト内の練習試合も積極的に行い、機体性能に頼りっきりになるのではなく、機体性能を活かす操作技量を身につけていきたいと思います。