電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト 2010 出場記

11月7日(日)、大阪電気通信大学の学園祭とテクノフェアの一貫として、寝屋川キャンパスにおいて「電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト 2010」が開催されました。外部からの参加者を含めて14体のロボットが出場しました。自由工房からは、レスコンプロジェクトから芝 和亮君(電子機械工学科2年)と浦中雄大君(電子機械工学科2年)、ヒト型ロボットプロジェクトから荒柴祥太君(情報工学科2年)が出場しました。荒柴君が見事優勝しました。

レポート

今回は、コの字に並べたオフィス机にカーペットを敷いたフィールドになりました。机の両側に壁がないため、操縦をミスすると、ロボットが落下するおそれがあります。
 競技は、コース上にあるトンネルを潜り、段差を乗り越え、ダミヤンの周囲にあるブロックを除去してから、ダミヤンをゴールまで搬送する内容です。
 ファーストミッションで上位6名に入ると、ファイナルミッションに進出できます。
 ファーストミッションでは、トンネルを潜り抜けるのに苦労しているロボットが多かったです。狭いところで動くため、左右にずれた時に軌道修正できるモーションが入っていないと、トンネルの足に引っかかってしまい進退不能になってしまうためです。
 結局、ゴールに到達できたのは、荒柴祥太君の「あすらR」と、zenoさん(大阪工業大学)の「RB2000SF」の2体のみでした。
 浦中君の「大電通 銀臥」は、ゴールには到達できませんでしたが、ミッションポイントで6位になりファイナルミッションに進むことができました。
 1時間の調整時間を経て、ファイナルミッションが始まりました。
 浦中君の「大電通 銀臥」は、ファーストミッションでロボットが落下し、機体トラブルが発生していました。調整時間に、メンバーの協力を得て修理し、出場しましたが、ゴールにまで到達はできませんでした。
 ファイナルでは、ダミヤン周囲のガレキブロックが立体的に積まれて難易度がアップしました。それにも関わらず、5体のロボットがゴールへ到達しました。
 どのロボットも素晴らしい救助活動を見せました。その中でも、荒柴君の「あすらR」はノーミスの安定して動きを見せました。特に、ガレキ除去は、他のロボットがブロックを蹴ってどかしているのに対して、ちゃんとブロックを掴み周囲の安全に配慮して撤去するという心配りを見せました。
 結果、ゴールへの到達タイムと審査員の優しさポイントの総合得点で、荒柴君が優勝を決めました。

公式サイト

電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト 2010
動画配信(Ustream)

スナップ












大会の感想

荒柴祥太君(情報工学科2年)

ヒト型レスキューロボットコンテストには、今回初めて出場しました。準備段階で、自分の使っているロボットでは、救助モーションの際にしゃがんでも腕の長さが足りないことが解り、急遽腕を延長しました。それにより、起き上がりのモーションも以前のモーションが使えなくなってしまったので作り直しました。
 競技では、要救助者人形の姿勢は指定できますが、当日に障害物がどのように置かれるかわからないため、思いつく限りのパターンの障害物をのけるモーションを作り込みました。
 大会1週間前に開催された事前の練習会では、うまく位置取りができずタイムアップしてしまい救助できませんでした。大会本番では、時間ギリギリでもいいから救助に成功したい思い、当日も練習エリアで個人練習を繰り返しました。
 そのおかげで、競技本番では、操作の精密性が特に問われる救助の場面で、いつもでてしまう操作ミスがなく、冷静な判断ができロボットの微調整など適切な行動ができました。ファイナルミッションでは、全行程通じて、ノーミスでミッションクリアができました。
 大会初出場で、このような結果を出すことができ自分でも驚きが隠せません。

浦中雄大君(電子機械工学科2年)

今回初めて、ヒト型レスキューロボットコンテストに選手として参加しました。楽しかった半面、ファイナルミッションでリタイヤという残念な結果に終わったことがとても悔しいです。
 1ヶ月半という短い準備期間で、ロボットの組立、モーション作りを行ったのですが、全てをイチから作るのは時間が少なすぎました。
 ファイナルに出場決定した時点で、ロボットに不具合が起きてしまい、休憩時間に懸命に修理しましたが、ロボットの調整がうまくいきませんでした、結果、途中でリタイヤすることになってしまいました。
 来年参加の機会があれば、もう少し余裕を持って大会にのぞみたいと思います。

芝 和亮君(電子機械工学科2年)

ヒト型レスキューロボットに選手で出場して、恥さらしのような感じでもうしわけございません。なぜそう思うのかの理由を今から書きます。
 まず、本大会で使われるツールと同じものを使ってモーション作りをしていたにも関わらず、競技本番でミッションクリアできませんでした。他の参加者の方々より、有利な準備状況であることを考えると、「何しているの!」と言われても仕方がない状態です。
 振り返ってみると、準備に甘い点がありました。
 トンネルくぐりのモーションは、作るのに約1ヶ月かかりました。作って、完成後、練習して一回クリアできたので「これで行けるだろう」と判断してしまいました。他のモーションを作らないと、間に合わない状況になったので、練習を重ねて、モーションの不備を見つけ微調整や修正する手間を惜しんでしまいました。
 そのため、本番で、ロボットが真っ直ぐに匍匐前進せずにトンネルの脚にぶつかって身動きできなくなった時に、対処方法がありませんでした。何度もリトライし、大きなタイムロスになりました。
 台乗り越えは、モーションはうまくできた思ったのに、本番では全く越える事が出来ないままタイムオーバーになってしまいました。何故、越えなかったのか? その原因は、後から考えてみれば「そういうことか」と理解できました。
 乗り越えモーションは、台に後向きに腰掛けて脚を水平に上げ、腕の力でお尻を軸にして身体を回転させて乗り上げるものでした。乗り越える台はアクリル板です。モーション作成と練習に使用したアクリル板には、使い込んでいるため細かい傷がたくさんありました。その傷がグリップとなり、ロボットの腕の力で移動できていました。
 競技本番は、アクリル板が新品なのでグリップが働かず滑ってしまい、腕だけ動いて全く移動できない状態でした。手に何か摩擦をつければ解決できた問題です。
 準備期間中も、サーボが燃えたり、サーボのモーター部分が動き鈍くなったり、トリムがおかしくなったりトラブルの連続でした。そのたびに、ロボットの初期位置の調整を繰り返し、練習時間やモーション作成時間が減るという悪循環でした。試合直前まで、トラブルが発生したため、本番形式の練習が全然できませんでした。
 このように、作業期間の取り組み方やモーションのチェック不十分な点が、競技の結果に繋がってしまいました。
 競技結果は残念でしたが、大会にでたことで、事前準備の大切さや競技内容の想定など多くのことに気づくことができました。非常によい経験ができたと思います。
 これらの経験は、ヒト型レスキューロボットコンテストだけでなく、本来のレスコンでも活きてくると思います。来年のレスコンでは、今回のような事態が起こらないよう余裕をもって取り組みたいです。
 悔しかったけど、楽しかっです!

スタッフレポート

電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト2010では、レスコンプロジェクトのメンバーがスタッフとして参加しました。各自が、自発的に考えて行動したおかげで、大会の進行がスムーズにを行えました。出場選手の皆さん、スタッフの皆さんお疲れさまでした。来年もまた、よろしくお願いします。

スナップ





スタッフ感想

高橋裕一朗君(情報工学科3年)

去年は選手として、今年はスタッフとして参加しました。去年とは違う視点から選手やロボットの様子をみることができました。
 レスコンプロジェクトから出ている後輩二人は、残念ながら結果を残せなかったけど、次回行われる大会では絶対に上位入賞出来るように頑張ってもらいたいと思います。後輩があまりだらしないようなら、来年は再び選手として出場しようかな。

浦野蒼士君(電子機械工学科2年)

今回は、受付や会場整理など完全な裏方の仕事でした。あまり試合は見られませんでしたが、小さい子どもさん達が楽しんでみてくれたのでよかったと思います。去年もスタッフをしていたので、全体の段取りや流れが分かっていたのでスムーズに進行を行う事ができました。ヒト型レスコンの他にも、テクノフェアや学園祭が同時に開催されていたので色々楽しめました。来年もヒト型レスコンのスタッフとしてお手伝いしたいです。

中村祐一君(電子機械工学科1年)

ヒト型レスコンに、初めてスタッフとして参加しました。はじめは戸惑って何をすればいいのか迷いましたが周りの人の助言をいただき、何とかスタッフとして働けたと思います。
 今回は、出場選手の呼び出しを担当しました。呼び出しの際に、選手のロボットを近くで見られて、ヒト型ロボットの形状や仕組みなどが勉強できました。競技の合間にヴイストンの今川さんから、参考になることをたくさん教えていただきました。来年も同じく、ヒト型レスコンのスタッフとして参加したいと思います。

三輪好輝君(情報工学科3年)

今回、ヒト型レスコンを初めて観て、非常に奥が深い競技であるという実感を得ました。選手としてではなく、運営スタッフとしての参加でありましたが、全試合を観る上で、勝つためのロボットとは何か、改めて考えさせられる良い機会であったように感じました。
 記録写真撮影を担当し、全試合の様子を撮影する中で、完成度の高い、すなわち安定して動作しているロボットには観客の盛り上がりも良く、非常によい競技を行えているように感じました。
 もちろん、観戦をするだけでなく写真撮影という仕事は自分なりに全うすることが出来ました。今年、客観的な立場でレスキュー活動を観たことを、来年度以降のレスコンでの自分の姿に反映させたいと思いました。

福田拡司さん(技術講師)

自由工房のヒト型ロボットプロジェクトとしては、初めてバトル以外の競技に参加しました。荒柴君が、機体性能が決して高いものでない状態で、優勝という素晴らしい結果を残しました。非常に嬉しく思います。
 彼は、高校時代から姫路ロボチャレンジで、バトル以外のモーションを作ることもあり、その経験がが今回の結果につながったと思います。この大会での経験を、今後のモーション作りに活かして欲しいと思います。