「第24回 知能ロボットコンテスト 2012」出場記
2012年6月16日(土)〜17日(日)、仙台市科学館において、「第24回 知能ロボットコンテスト 2012」が開催されました。自由工房から、今回初めて2チームが参加しました。
知能ロボットコンテストとは
「知能ロボットコンテスト」は、ロボットが競技台の上に置かれたボールや空き缶を集めて決められたゴールに入れる競技です。ロボットは自立型で、競技中に人がロボットを操縦することはできません。競技がスタートすると、ロボットが自分でボールや空き缶を探し、色を判断して決められたゴールへ運ぶことができれば、高得点が得られます。
知能ロボットコンテストには、主に大学生や高校生、社会人が参加しています。今大会には、チャレンジコースに79チーム、テクニカルコースに11チームが出場しました。
今回の大会はレベルが高く、優勝したロボットはボールの識別センサーが完璧で、あとは、いかに早いタイムを出すか……というレベルで勝敗を競っていました。
公式サイト:知能ロボットコンテスト
ロボット紹介
自由工房からは、入門者用のチャレンジコースにOECU-B班「三角おでん君」、上級者用のテクニカルコースにOECU-A班「トテステおでん君」が出場しました。
OECU-B班「三角おでん君」
大会では、自由ボールを一個、ゴールに入れることができたため5点獲得ができました。
マシン全体をアルミで加工し、軽量化を目指して設計、製作を行いました。これまで相撲ロボットを製作してきた経験から、ロボットは、センサーやモータを搭載することでどうしても質量が増えることを知っていました。知能ロボットの製作は初めてだったため、どれほどのセンサと動力が必要なのかわかりませんでした。そのため、設計段階でできるだけ軽くしようと思い軽量化を目指しました。
ロボットの制御方法は、機体の前方と後方にリミットスイッチを取り付け壁に接触すると壁を回避する行動を行います。そして、ハンドに取り付けてある距離センサでボールを見つけ、1個ずつゴールに持っていきます。
- メンバー:山中拓也(工学部電子機械工学科4年)、林 大聖(工学部電子機械工学科4年)
- ロボット名 三角おでん君
- 寸法 400×330×200mm
- 質量 3.2kg
- 速度 300mm/s
- 使用している制御手段 デッドレコニング 距離センサ
- 使用している機構 ハンド
OECU-A班「トテステおでん君」
ハンドで対象物をバケツに入れ、コース内にある対象物をまとめて捨てるロボットです。大会では、走行ラインを外れて動けなくなってしまいました。リトライを繰り返しましたが、同じ結果で無得点のまま競技が終了しました。
設計時に4軸のハンドを考えていたので、バケツの回転機構はモータひとつで二つの回転をさせています。最終的に機構を2軸ハンドに変更しました。
制御は、マイコンを二つ使用しパラレル通信で制御を行っています。駆動部とハンドなどの動作部で分けています。
リミットスイッチで移動の角度を補正し、ライントレースのセンサによりゴール前を認識させています。ハンドの内側に取り付けたPSDセンサにより、ボールの有無を探ります。ライントレースのセンサとPSDセンサによって、ボールを把持する制御をしています。
- メンバー:神埜奨太(工学部電子機械工学科4年)
- ロボット名:トテステおでん君
- 寸法:長383.5mm×幅402.5mm×高403mm
- 重量:6kg
- 速度:150mm/s
- 使用している制御手段:ライントレース、 デッドレコニング、 距離センサ
- 使用している機構:ハンド
メンバーの感想
山中 拓也君(工学部電子機械工学科4年)
私が今年、製作に携わったロボットは、三角おでん君という 知能ロボットです。(ちなみに 名づけ親は、H学科の鄭先生です。)
開発作業は、2011年の11月から取り掛りました。毎週平日16〜21時までの時間帯で作業をしていました。しかし、作業が遅れていると土日も作業を行っていました。
私は、ハードウェアの担当をしました。作業内容として設計と部品加工を行いまいた。ちょうど知能ロボットを開発していた時期に、製図の授業があり製図の課題と知能ロボットの設計を両立させることに苦労しました。
ロボット製作で工夫したのは、振子走行が可能なように設計したところです。残念ながら、今回は時間の関係上、この機能を活かせませんでした。もし来年度の1年生が私の作ったマシンで大会に出場したいと言ってくれるなら、振子走行を実現してほしいと思っています。
反省点は、今年初めて自由工房の活動として知能ロボットを作成してため、製作に対する作業工程があいまいになってしまい思った以上に時間がかかったことです。
私はソフトウェアが少々苦手なため、ソフト関連の作業をほとんどソフト担当に押しつけてしまいました。そのため、ソフトウェアの担当にかなりの負担をかけてしまいました。
来年は、ハードウェアをできるだけ現状維持のままソフトウェアに重点を置いて
作業を行おうと思います。
私は、今年で卒業します。後輩達には、悔いが残らないように頑張ってほしいと思っています。
神埜奨太君(工学部電子機械工学科4年)
知能ロボットを製作することで、設計、回路、プログラムがとても勉強になり、ロボットを製作できたことにありがたく思っています。
今回の知能ロボットコンテストで私の製作した知能ロボットはうまく動作できなかったため、一次予選で敗退しました。読み込むラインからずれてしまい、次の動作につながらなかったのが原因でした。もう少しプログラムを作成して、対処できるようにしたかったです。スケジュールの管理と実行をしっかりと行うようにすべきでした。
テクニカルコースの優勝者などを見るとロボットが小さくできていて、私も小さく製作費をあまりかけないロボットを作りたくおもいました。できれば、パフォーマンスができるプログラムを作成したかったです。
問題がありましたが、機会があれば知能ロボットコンテストに参加し、今回の経験と失敗を教訓に知能ロボットを製作したいです。
林 大聖君(工学部電子機械工学科4年)
私達OECU-B班は、今回の知能ロボットコンテストで予選敗退という成績になりました。
敗因としては、ハードの完成の遅さとプログラムの未完成があります。機体本体が大きい事もあって何かトラブルが起きて修正しようとしたときに、時間がとてもかかってしまいました。そして、それがそのままプログラムの作成時間を削っていってしまい、大会までにプログラムが完成しませんでした。
本番では試合開始時に配布される自由ボールをゴールに入れることはできましたが、それ以外のカラーボールをゴールに入れることができませんでした。カラーボールがある場所までは行くことができましたが、プログラムのバグ取りがうまく出来ておらず、ボールをその場で延々と探し続けたり、ボールを見つけても、うまくハンドを閉じれなかったりといったエラーが起きてしまいました。
やはり大会一ヶ月前までには大体のプログラムが出来上がっていなければならないと感じました。
他のチームのロボットで得点が高いロボットは、単に競技で得点を取るだけでなくパフォーマンス性が高い見ごたえのあるロボットでした。次に作るのならば、このようなロボットを目指して製作したいと思いました。
今回は成績には結びつきませんでしたが、ロボットを製作したことで、基本的な回路の組み方やつなぎ方、色々なセンサの使用方法、センサを使ったプログラム方法等を習得することが出来ました。
道下真人君(情報通信工学部情報工学科1年)
ロボットについて右も左もわからない私でしたが、今回の知能ロボコンを直で見学させてもらいたくさんのものを吸収できたと思います。
いろんな形、大きさ、数、ボールの入れ方。全国から来た様々なロボットをみて、アイデアが浮かびました。今、習っているCプログラミングをしっかり勉強し、来年、再来年には自分のイメージを実現したいと思います。
そして、今回の知能ロボコンを通して、優しい先輩方や鄭先生と仲良くさせてもらい、沢山の貴重な話が聞けたので私にとって良い思い出ができました。
来年、自分も優しい先輩になり、先生が笑顔になれるような結果を残せるように頑張りたいと思います。
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