「2012年 ルネサスマインカーラリー競技大会」レポート
7月28日にルネサスマイコンカーラリー大会が東京・飯田橋のルネサス研修施設で開催されました。昨年度は、東日本大震災の影響により、大会が中止されていたため今年度は2年ぶりの大会です。
自由工房からは、3台のマシンが出場しました。例年100台を超える参加者がいますが、今回は募集人数80名と絞られていました。そのため、少数精鋭のハイレベルな大会になりました。
今回敷設されたコースは全長63メートル。前回より4メートル延長されていました。大会ルールで大きな変化は、予選のレース方式です。予選時間は4時間設けられており、予選では何度でも走行できます。つまり、コースを10回走行しても20回走行してもタイムを計測してもらえるのです。予選終了時点で、一番いいタイムがその人の予選タイムとなります。
予選の序盤で、中井智貴君(電子機械工学科3年)、大西祐喜君(通信工学科2年)ともに1度で完走し、順調な滑り出しを見せました。予選経過1時間の中間報告で、中井智貴君(電子機械工学科3年)が16位、大西祐喜君(通信工学科2年)も決勝へ進める32位以内と好ポジションをキープ。しかし、三原和也君(通信工学科2年)はマシンのハードウェアに支障をきたし、不具合に苦しめられていました。
全参加者が、予選タイムを0.1秒でも縮めようと、マシンをギリギリまで調整していました。結果、予選の終盤にはハイレベルな戦いが展開されることになりました。
他の参加者が徐々にタイムを上げてきて、最終的に中井君は27位と奮闘するも、大西君は35位で予選敗退。三原君は、残念ながら完走ができませんでした。
翌日の決勝戦は、予選と同じコースですが、タイムトライアルではなくトーナメント形式になります。予選を27位で通過した中井君(電子機械工学科3年)は予選を6位で突破した豊田知央氏とあたり惜しくも敗北しました。(記:中森智史君/電子機械工学科2年)
記録
順位 | 予選 | ロボット名 | 最終タイム | 動画 |
---|---|---|---|---|
27位 | 中井智貴君(電子機械工学科3年) | モモタロ | 00’17″31 | 動画 |
35位 | 大西祐喜君(通信工学科2年) | 準急行 | 00’19″10 | 動画 |
− | 三原和也君(通信工学科2年) | 麒麟 | − | 動画 |
公式サイト
メンバー感想
中井智貴君(電子機械工学科3年)
結果は予選27位(17秒31)で、決勝トーナメントは1回戦敗退でした。
大会の1週間前にはかなりいい調子で走っていたものが、2日前になり急に走らなくなるというハプニングがあり、大会で完走する事が出来るか不安でした。大会で完走しタイムを残す事ができ良かったです。
今回の大会では秒速3.7mを目指していましたが、最終的に秒速3.6mどまりになってしまいました。もう少しで、目標に届いたのにと悔しいです。
決勝トーナメントの1回戦は、相手の方が先にコースアウトしてしまい、私のマシンが完走すれば勝ちだったのですが、クランクの部分で落ちてしまいました。両者コースアウトの場合は、予選タイムが速い方が勝ちあがるため、私は敗退になりました。
せっかくのチャンスをものにできなかったことも悔しいです。マシンをチェックすると、シリコンシートがはがれていました。マシンのメンテ不足により、安定して完走することがあまりできていなかったので、この結果になったと思います。
しかしながら、一昨年に比べて今大会は参加者の完走率が高く、さらに平均タイムも速く、レベルが高い大会の中で決勝に残れたことは本当に嬉しかったです。
調整ブースでは、参加者の方々と技術交流ができ、私が伸び悩んでいる点の改善策も得る事ができました。私のマシンは、重量が1.1kgありますが、トップは700gと伺いました。軽量化のために、不要な部品を使わない、肉抜きをする。ギアを真鍮製からプラスティック製にすることでも軽量化は可能と知りました。
私は、最高速度でカーブに入ったときのブレーキング方法がわかりませんでした。そのために、最高速で走れずにいました。速いマシンは、もちろん最高速度で直線を攻めています。カーブを検出したら、全輪を逆転させて瞬間的にブレーキをかけ、曲がれる速度まで落として、カーブの途中で再びスピードを上げていました。こうした制御も、機体が軽いからこそ可能になっています。
現在、トップの選手とは2秒近くタイムが離れているので、できれば来年のマシンは上位のタイム争いに参加できるモノに仕上げたいです。来年に向けての課題、上位に入るための条件など大会で勝つために必要な情報を得る事ができたため、今大会に参加した意義は大きかったです。
来年の2月には第6回電通大杯を行いたいと考えています。そのときに今回で得た経験を生かしてリベンジしたいです。
私は来年4年生になるので、次回ルネサスマイコンカーラリー大会に出場できるかどうかわかりません。しかし、今の2年生、1年生に伝えれらることは全て伝え、来年彼らが上位に食い込めるようにサポートをしたいです。できるならば私も新しい車体を開発し、大会に参加していきたいと思います。サポートしながらも私が速いマシンを作り彼らの刺激になれるような先輩でいたいと思います。
大西祐喜君(通信工学科2年)
新作マシンで大会に出るのは、これが初めての経験でした。マシンは春休みに設計と加工を行い、新学期が始まったくらいに機体を完成させ、大会までプログラムの調整と細かな機体改良を行いました。
大会のコース全長は63mでした。試走は、50分間に何回でも走らせるすことができましたが、1回目の走行で完走できたので、試走は1回だけにしました。試走時のタイムはINコースから走らせて19.55sでした。
予選も4時間で好きな回数走らせることができました。プログラムを改良しつつ計6回走らせました。予選の1走目はOUTコースから走らせて19.95s、2走目もOUTから走らせて19.71sでした。自分のマシンはINコースから走らせた方が速いようだったので、3走目から6走目はINコースから走らせました。3走目のタイムは19.46s、4走目はレーンチェンジ終了処理でスピードを上げすぎたため、コースアウトしてしまいました。5走目と6走目はともに完走し、タイムは5走目が19.10s、6走目は19.43sでした。
結果、予選の最速タイムは19.10sで秒速3.3mです。順位は35位で、予選通過の32位以内に入ることは叶いませんでした。32位のタイムが18.28sだったので、1秒ほど届かなかったです。せめて18秒を出したかったです。そのためには、秒速3.5mは必要だと痛感しました。
来年もルネサスの大会に出るなら、タイヤ駆動用のモータをマブチモータから、減速加速の性能が高いマクソンモータに替えて調整したいです。
三原和也君(通信工学科2年)
ルネサスマイコンカーラリー大会に出場して、一つ目は、準備不足、二つ目は、プログラム技術の低さ、三つ目は、車体設計の甘さについて思い知らされました。
準備不足については5日前に、調整をかけていて、センサとサーボが壊れてしまい大会まで原因究明を続けしましたが、わからずじまいでした。その結果、前日のホテルでも調整しましたが、完全に治すことができないまま、大会に出場ということになりました。予備の部品等の用意が不十分でした。
二つ目はまだ、プログラムが完全に組めてないことがよくわかりました。例えば、クランクやハーフラインの安定走行、高速走行ができないのでその辺をきちんと組みたいです。そして、直線の減速率や加速、カーブの進入時の対処法が甘いと分かりました。
車体の設計に関しては、ほかの上位入賞者のマシンを見て、学ぶべきところがいくつかありました。ギアボックスの設計やサーボ部分の小型化、今以上の車体の低重心、メンテナンス性、軽量化について、参考になる点が多かったです。
シャーシ強度についても、考えさせられるところがありました。具体的にいうと、サーボの部分のボリュームが大きいため、サーボの小型化ができないとボリュームの誤差が大きいということで、今使っているボリュームを見直したいです。ポリカーボネイトをシャーシに使うことは軽量化ということでは良かったんですが、基板やギアボックス、サーボなどの回りの強度に頼ることになり、結果的に強度の低い所ができてしまいました。部品の固定点を考えて使うと使えないことも分かりました。
今回大会に参加して、完走はできませんでしたが、設計、プログラム等の今後やるべき事と、一回試してみたいことなどの課題が再確認できました。電通大杯で見た車体とは、また違った車体が多かったので、非常に参考になりました。次の大会では完璧に走るようにハード的にも、ソフト的にも調整したいと思います。
マシンが壊れた原因について、この夏休みに検証していきたいです。
中森智史君(電子機械工学科2年)
今回私は選手としてではなく、カメラ撮影などの付き添いとして大会に同行しました。
大会結果を見て思ったのは、やはり根本的に自分たちのマシンと違うなという点です。ロボットの機構だけでみるならそこまで変わっているわけではありません。マイコンカーとしての最低限のスペックを持っていて、機構も似ています。
しかしながら細かい部分、パーツの軽量化やパワーの効率のよさをいかにポイントを抑えて追求できているか。そういった些細な点の積み重ねが、大きく響いているのではないかと改めて感じました。またプログラムの面でも、いかに制御することで、マシンの性能を生かすことができるかを知る機会になりました。今回の経験を、今後自分たちのマシンにどのように反映させていかせるかが重要だと感じています。
高城康一君(電子機械工学科1年)
初めてマイコンカーラリー競技大会を見ましたた。当然、速い機体もあれば遅い機体もあり、どこで差がつくのか、プログラムだとか機体の精度だとかいろいろあるのでしょうが、自分はまだマイコンカーについてほとんど何も知らないのでなんとも言えません。
けれど、いつか自分も自分の機体を組み上げてマイコンカーラリー競技大会に参加してみたいと思っいました。
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