inrevium杯第15回レスキューロボットコンテスト予選レポート

2015年6月28日に、神戸サンボーホールで第15回レスキューロボットコンテスト予選が開催されました。

レスコンは、大規模災害で被災した市街地を想定したフィールドで、ロボットがレスキュー(救命)活動を行うコンテストです。ミッションは、大地震で倒壊した市街地でガレキの除去、ガレキに埋もれた要救助者役の人形(ダミヤン)を衝撃を与えずにレスキューすることの2点です。

ロボットの活動達成度、ダミヤンをいかに優しく速やかに救助するかが評価されます。

自由工房は、メンバーは11人で救命ゴリラ!チームを結成し、3台のロボットを製作して出場しました。競技結果は、20チーム中13位でした。

メンバー紹介

キャプテン
高木裕一郎君(電子機械工学科3年)
1号機オペレータ
近藤 吏君(電子機械工学科3年)
2号機オペレータ
藤田 勝君(電子機械工学科2年)
3号機オペレータ
能㔟賢人君(電子機械工学科2年)
TPIPボード管理者
奥村優策君(電子機械工学科3年)
ヘルパー
須下貴博君(電子機械工学科2年)
竹村正彦君(電子機械工学科2年)

参加者レポート

高木裕一郎君(電子機械工学科3年)

会場に着いたとき、大会でロボットは動くのか? とものすごく不安でした。なぜならロボットは、前日にできたばかりで、修正、調整などをほとんどしていない状態で練習も十分にできていなかったからです。

会場に荷物を入れてすぐ3号機の調整を始めました。ロボット検査の時は,とてもヒヤヒヤしていました。前日できたばかりの3台のロボットなので、この検査で不合格になれば、予選にもでられないからです。でもなんとか検査には合格できて、ほっとしました。

しかし、テストランのときに問題が起こりました。

ロボットを遠隔操作できませんでした。原因を探そうとしましたが、自分には、プログラムやパソコンの設定などはできなかったので、ほとんど奥村優策君(電子機械工学科3年)に任せていました。

しかし、なかなかこの問題は解決しませんでした。このまま解決しなかったら、動かないまま終わるんじゃないかとだんだん焦りました。会場にいたOBの先輩方が来て問題解決の手伝いをしてくれました。自分たちの順番が回ってくる寸前まで、この作業をしていました

ようやく問題が解決してなんとか予選に出れると安心しました。

しかし、ここで自分にとってショックなことが起こりました。3号機の足回り機構のモータと軸の取り付け部分が故障して動かなくなり、3号機だけ出れません。そのため、残りの1号機と2号機だけで救助活動を行いました。

さらに、自分の役割はキャプテンでしたが、あまり上手く指示できず、ほとんど清家悠太郎さん(電子機械工学科4年)が指示してました。このとき自分が情けないと思いました。でも、残りの2台でなんとか2体の内、1体のダミヤン(要救助者)を救助、搬送できました。もう1体は、時間切れで救助できませんでした。得点は34点で、去年とあまり変わらない結果で終わりました。

今回の予選は、準備不足でした。ロボットも予選の1か月早く完成させていれば、慌てずに準備ができていたと思います。このことからスケジュールの大切さを改めて、知りました。この大会の体験を活かして、次回レスキューロボットコンテストに参加する後輩たちのために次回レスキューロボットコンテストの備えをしていきたいと思います。

清家悠太郎君(電子機械工学科4年)

私はチームのサポートとして参加しました。正直、選手として参加するとは思いませんでしたが、直前にSOSが入りできる限りの協力をしました。

今回のレスコンで考えられるチームの反省点は、

  • 詳細なスケジュールが作られていなかった
  • 時間を有効に使えていなかった
  • 技術についての相談がなかった
  • ロボットの完成が遅すぎた
  • オペレーションの練習量が足りなかった
  • 先輩へ相談するのが遅かった
  • などがあります。

    スケジュールについて、私もおおまかなスケジュール表は見ましたが、ロボットのそれぞれの細かい部分のスケジュール表は見ていません。

    各部品の製図・加工、組立、回路製作、デバック、練習と細分化したスケジュール表は必要だったと思います。

    ロボット製作に使える時間が限られています。今年は特にバイトや家の事情などで、製作に掛ける時間が少ないメンバーが多数いました。個々に事情があるのは仕方ないと思います。

    しかし、自由工房にいる時間中は工夫すれば、もう少しは効率的にロボット製作ができたのではないかと思います。

    例えば「今日はこれくらいでいいや」と適当に終わるのではなく、作業開始時に「今日はこれだけやろう」と明確な目標を立て行動するといった風に意識を変える。それだけでも、作業効率がアップできたと思います。またこれを意識すれば自分の作業に必要な時間も分かりスケジュールも立てやすくなったでしょう。

    これは私の考えで個人差はあるとは思いますので、それぞれのやりやすい方法を模索してください。

    残念なのは、大会直前まで相談がなかったことです。なぜ、もっと早くに相談をしてこなかったのでしょうか。私以外にも、先輩方が「困ってることない?」と聞いているのをよく見かけました。

    せっかく手伝ってもらえるのですから、もっと先輩たちを頼りにしてください。

    まだまだ改善点はあると思います。これらは反省会にて、全員できっちり話し合って欲しいと思います。

    もちろん、私にも反省点があります。一番は、技術継承がちゃんとできなかったことです。

    今回のロボットを見ると必要なものがそろっていなかったり、回路やソフトウェアで当たり前の技術が現役メンバーに伝わっていないとわかりました。これを反省し、後輩の指導を見直します。

    この夏に改めて技術講習をすると聞いたので、私も積極的に手伝います。

    奥村優策君(電子機械工学科3年)

    私の担当はレスコンボード管理者でした。

    大会で無線管理をし、来年以降の無線管理担当者に無線管理の方法を伝えることが目標でした。

    神戸予選は、得点は34点で自力での本選出場権の獲得ができませんでした。@日開催の東京予選終了後に発表されるチャレンジ枠次第となります。

    予選競技会で本選進出に至らなかった原因は、各ロボットのデバッグ不足と不具合修正に充てられる時間の不足、そしてオペレーションの練習時間が十分とれなかったことです。

    すべてのロボットが大会直前に完成したため、デバッグにかけられる時間が少なく、不具合をすべては把握しきれませんでした。また、判明していた不具合の中には満足に改善できなかったものもありました。

    操作練習はコンフィグの設定と兼ねるように行っていたため、各オペレーターは操作方法しか把握していませんでした。ロボットの完成度も低く、除去機である3号機を除いてカメラが機能しておらず、ダミヤンの救助が困難な状況でした。

    予選のテストランにおいて、ロボットが3台とも無線接続できなかったため、フィールド上で満足な練習を一度も行えずに本番に臨むこととなりました。

    今回の暫定的な結果は大会までの過程を考えると健闘していたものの、大会までの過程を含めて良いものではありませんでした。

    私は超音波式の距離センサーの研究をしていましたが、予選までに完成させてロボットに搭載ができませんでした。現在センサーのアナログ出力ができず、その原因を探している段階です。本選出場の機会があれば、完成させて実装したいです。

    近藤 吏君(電子機械工学科3年)

    私は救助機である1号機のオペレーターを担当しました。

    1号機は自分が設計・製作したマシンです。大会直前まで調整が終わらず、操作練習の時間がとれませんでした。

    大会当日は出場までの間、各部位の点検と調整を行っていました。有線での動作確認を済ませ、無線での動作練習を行おうとしたのですが大会へのLANカードの申請に不備があったり、ソフトとの接続設定でどうもうまくいかなかったりで結局、本番までの練習は2回ほどしかできませんでした。

    練習していないので、競技本番が不安でしたが、ロボットを操作してみるとおおむね想像通りの動作で通信不良もなくかなり落ち着いて操作ができました。

    原因は不明ですがカメラ映像が得られなかったことがダミヤン救助の際にネックでしたが、目測でのアプローチがうまくいき安心しました。

    大会結果はダミヤン1体救助で34点と、本選には及びませんでした。予選出場を辞退するかどうかという瀬戸際から、ダミヤン救助までいけたことは嬉しかったです。ここまでこぎつけたのは加工からメンテナンスまで手伝っていただいた後輩や先輩、薦田室長のおかげです。

    今年は本選にはいけないかもしれませんが、1号機をすぐ解体してしまうのではなく、もう少し改良や見直しを行って、後進とともに経験を積む題材にしていきたいと思います。

    川中裕士君(電子機械工学科2年)

    今回の個人目標は、防げる失敗をできるだけ起らないようにすることでした。

    結果は、マシンの力不足の原因である充電池の充電不足を前回の大会の経験を活かして防ぐことができたと思います。大会ではできる限りの範囲でマシンの力を発揮させることができました。

    今回の反省は、私事で自由工房に行けなくなり、余り活躍できなかったことです。本当に悔しかったです。次回はこのような事態に陥らないように、対策を考えます。

    阪部 佑磨(機械工学科2年)

    初めてレスコンに参加しました。

    競技会予選の本番でダミヤン救助の主軸となる1号機、ガレキ除去とダミヤン救助をする2号機は順調に動作し、1号機は無事ダミヤンを救助することができました。ガレキ除去機の3号機は、残念ながら本番直前に車軸部分の調整でねじ山がつぶれてしまい、進行できずに終わりました。

    また2号機は、最初のガレキ除去をボディでなんなくこなし、ダミヤン救助の際は、少し難関だったためダミヤンにガレキがあたってしまいペナルティとなり制限時間終了となりましたが、救助活動にかなり貢献いました。

    結果も、多少トラブルがありましたが、ダミヤン1体を救助し、本番では特に誤動作や不具合もおこらず的確な動作で非常によかったと思います。

    今回の大会では、ロボットの製作がギリギリになったことや、レスキューロボットのプログラムを分かっていない部分があり、本番前までトラブルが起こっていたのが問題と感じました。チームメンバー全員がロボットのプログラム関係に弱かったのは厳しかった点です。

    今回の予選は、下手【左】と上手【右】に分かれて交代で競技が行われました。各チームがロボット検査、テストラン、本番が順に行われました。

    最初に行われるロボット検査で、ロボットの製作がギリギリだったため、審査時に見せるものがちゃんと準備できていませんでした。今後気をつけなければいけない1点目として、「ロボットの製作を事前にしっかりとやり、余裕を持って完成させる」があります。

    2点目は、プログラムです。テストランの際、開始前にパソコンからロボットに無線接続がうまくいかなくて、ロボットが動作できませんでした。本番直前に、何とか接続を確立して、動作確認し走行することができましたが、やはり我々の知識不足や理解度に問題があったと思います。

    PC特有の問題、Windows設定上の問題もありました。事前に有線でしか動作確認をしていなかった点が、トラブルの原因でした。ソフト面をもっと理解しておくべきだったと思います。

    いろいろとトラブルもありましたが、当日は最後まであきらめずに対応し、ロボットも動いたのでよかったです。今回の反省点を生かし、次につなげていきたいと思います。

    須下貴博君(電子機械工学科2年)

    今回の大会はロボットの製作が大幅に遅れてしまい、練習をほとんどできないまま出場しました。

    問題点はTPIPボードの申請忘れによる通信障害、および各号機の整備不足だと私は考えています。TPIPボードの申請忘れは論外ですが、各号機の整備不足、特に私が作成した2号機の問題が多かったです。

    私の製作した上下機構のギアの噛み合わせが悪く、土壇場になって修理しました。この失敗を次の大会ではしないようにしたいと考えています。

    竹村正彦君(電子機械工学科2年)

    今回、レスキューコンテストに初めて参加しました。初めて自分の作ったマシンが大会に出場しました。とてもすがすがしい気分で参加しました

    これまでロボットのコンセプト決めから大会出場までの反省するところは、やはりコンセプト決めから設計するところまでです。個人的に今回は行動するのが遅かったです。

    加工し組み上げたのはいいのですが、ところどころに不具合がありました。例えば上下機構がどこかで引っかかりちゃんとスムーズに上がらなくなったり、ベットの幅が大きかったりアームが動かなくなったりなどです。問題点がいろいろと出てきました。今回の経験を生かし来年に向けてもう少し本気を出して挑みたいと思います。

    中尾隆幸君(環境科学科2年)

    レスコン神戸予選にカメラマンとして参加しました。

    今回のレスコンでは、2回生となり自分自身の確立や、先輩としての勉強の場でもありました。

    普段は、ソフトメンバーとしてソフト面を担当しています。ただし教職・他のクラブ・マイコンカーラリー班の掛け持ちを行い、あまり活動ができていませんでした。レスコン班としての自分の役割は、ソフト検討、メンバーの加工補助・基板作成、部品検討でした。

    時間を追って、当日詳細を以下に示します。

    大会前日の27日(土曜)に22:00まで自由工房に残りました。大会で予想される補修部品に不足がないかを高木裕一郎君(電子機械工学科3年)、藤田 勝君(電子機械工学科2年)とそれぞれ確認したためです。延長ケーブル・カメラパーツなどをBOXに入れ、3人とも持ち帰りは大荷物となりました。

    大会当日は、朝8:00集合なので、皆と同じ5時ぐらいの早起きでした。しかし、遅刻者と連絡のつかない新メンバーがいたため、集合場所で9:10まで探して待ちました。ところが、連絡のつかなかったメンバーは単独で会場に先に来ていました。

    リーダーは参加メンバーの連絡先を押さえておくべきだと反省しました。また、前日までにスケジュール等を、何度も確認すべきでした。

    9:30に先発した予選メンバーと合流できました。すでに活動準備を始めており、キビキビした良い雰囲気を感じることができました。

    私もカメラマンとして記録を取りました。大阪電気通信大学公式の映像班“電チュさん”が来られていました。私が撮影しているカメラの前に陣取るなど少々対応に疑問を感じました。後から聞いた話では、主催サイドには許可を得ていたそうです。

    10:30、私が撮影の準備していた間に、皆はロボットの審査を終了していました。さらにほぼ時間通りに作動テストを開始しました。しかしここで、無線LANの調子がうまくいかないトラブルが発生し、テスト走行の時間を使い切り、通信チェックのみを行うことになりました。

    前日のチェックでは無線作動は正常で、有線LANでは正常に作動コントロールできていました。

    12:30、通信エラーの原因をメンバーで探したがうまくいきませんでした。自由工房OBが大会運営メンバーに参加されていたこともあり、薦田室長の協力も得られて、通信設定の詳しい方に助言を求めることができました。しかしそれでも再三の確認で、もうTPIPメーカ(サンリツ社様)に助言を求めるしかないと結論になりました。“経験上、電源バッテリーが新品でなく、不安定動作している可能性がある”とアドバイスをいただきました。

    OBの中井さんが駆けつけ、2号機のみ正常動作できることが判明しました。中井先生の調査では、TPIPソフトも設定したIPアドレスが別のモノ(や、過去のモノ)に書き換わるバグのような現象を確認できました。

    しかし、バッテリの条件を良くしても残りの1、3号機はどうやっても有線LANでしかコントロールできませんでした。

    ここで、OBの上殿先輩から大会に用いる無線LANカードのマックアドレスを会場に届けていなかった可能性を指摘され、その対応を行っていただきました。

    確かに、今年から電通メンバはTPIPボードの貸し出し抽選に外れ、今年参加メンバがソフトに強くないなど、不運と知識継承なされていなかったように思います。

    このことは、次年度以降に是非伝えたいです。

    しかし、それでも原因が特定・改善されたと言えず、まだ数回テストチェックすることになりました。ここまで原因が分かるのに、大会運営にOBがいたのは幸運でした。

    予選の順番待ち時間30分前になり、突然3台のロボットが作動しました。この時、参加メンバーに強力な連帯感が生まれており、実に感動を感じました。

    そこから、高まった連帯感の下、皆が高速でロボット調整を行いました。というのも、今回のトラブルの原因究明のため、ロボットを酷使し、ネジ・部品・配線・部品かみ合わせを痛めてしまったためです。

    17:00頃、前々のスケジュール後ろ倒しのためロボット予選を開始しました。

    私は駆けつけた先輩・OBさん達とともに観客席から撮影を行いました。

    その感想は、ここまで来て皆がロボに詳しくなり、皆、劇的にうまくコントロールしたように思います。というのも1号機がダミアンを高速救助行い、かなりインパクトがあったからです。

    予選結果は13位でした。先輩からも、「なぜこういう結果か、考えような? それをどう活かすかやで?」とのアドバイスをいただきました。がんばりたいと思います。

    製作時の部室の集まりは芳しくなかったですが、それぞれ事情もあると思います。でも投げ出さず、最後の連帯感が素晴らしかったです。

    大会に出場していろいろ勉強になりました。参加させていただいて、ありがとうございます。これらの経験を次に活かしたいと思います。

    能㔟賢人君(電子機械工学科2年)

    本選には行けませんでしたが、次に向けての目標が決まりました。

    今回は、全体的に作業が遅かったため練習もあまりできませんでした。来年度に向けて新しくロボットを作るかはまだ決まってませんが、次は練習ができ、機体の調整ができるようにスケジュールを立てて作業を進めていきたいと思います。そのためにまずは今年度の神戸本選を見に行き、今後参考になるであろう機体をじっくり見ていければと思います。

    藤田 勝君(電子機械工学科2年)

    大会を終えて、個人での反省点は大きく3つがあります。

    1つ目は大会にむけた準備期間のスケジュール履行、調整不足です。

    初めてのロボット製作ということもあり、自分のできる、できないことがわかっていなかったり、この先に何をやるかを明確に把握していなかったためにスケジュールをしっかり組めていませんでした。

    2つ目は、マシンの配線、動作チェックなどを自分でわかっていないために先輩、OBの方々にほとんど丸投げしてしまったことです。

    3つ目は、予選直前の調整でコントローラー側の動きが悪いにも関わらず、修正や対策を講じずに強行してしまった点です。

    今後同じ失敗を繰り返さないために、今回の一連の流れを忘れず、さらに進捗が遅れることを見越してスケジュールを組むようにします。

    そして、夏休みやその他の期間に、余裕のある先輩にわからないことを教えてもらういます。

    また当日扱う備品のチェックを怠らず、異常があった場合はまず、修正や対策を考え、考え付くものをすべてやってみるようにします。

    特にスケジュール管理は、来季の新入生も同じ状況に陥るだろうことが考えうるため、しっかりとサポートしていきます。来年は今回のような事態に陥らないようやっていきたいです。

    スナップ