電通大杯 第6回マイコンカーラリー大会参戦記
2013年2月24日(日)、大阪電気通信大学寝屋川キャンパスの自由工房にて、電通大杯「第6回マイコンカーラリー大会」を開催しました。北海道から沖縄まで全国各地から過去最大の101台のマイコンカーが集まりました。今年は、社会人の参加が多く、高校生と一般参加者が技術交流する大会となりました。
リンク
- 電通大杯 第6回マイコンカーラリー大会参戦記
- 電通大杯 第6回マイコンカーラリー大会 画像処理部門参戦記
- 電通大杯 第6回マイコンカーラリー大会 公式記録
- 電通大杯 第6回マイコンカーラリー実行委員会スタッフレポート
- 電通大杯 第6回マイコンカーラリー計測&集計システム開発記
コース
コースの全長は40.6mです。
今年のコースの見所は、スタート直後に3.3mの長い直線があり、最高速度でR450のカーブで揺り返しがあることです。第1の難所を抜けると、スネーク終わりのハーフラインチェンジがあります。クランク、カーブ、クランク、カーブの連続を抜けた後に坂道。坂道を下ったところに2つめのハーフラインチェンジがあるので、速度の制御が重要になります。そして最後の1.8mストレートの後にも、クランクが待っています。
高校生ベーシック部門にはR450とR600の混在たこつぼが厳しかったかもしれません。
レポート
マイコンカーラリープロジェクトの1年間の活動総括として、「電通大杯 第6回マイコンカーラリー大会」を開催しました。
今大会は、株式会社ルネサスソリューションズからルネサスマイコンカーラリー事務局の大塚様と島津様も見学にきていただきました。マイコンカーラリーのサイトでも事前告知をしていただいたおかげで、過去最大の参加者数がありました。
大会は、高校生Advanced ClassとBasic Class、一般に分けて周回タイムを競いました。電通大杯の最大の特徴でもある画像処理部門には高校生を含め13台が出場し、画像処理部門が定着してきたことを感じました。
今回何より嬉しかったのは、社会人の参加が増えたことです。高校生の参加者達に、全国レベルのマイコンカーを間近に見てもらえる貴重な機会となりました。エキシビションとして島津さんがマシンを走らせたときには、多くの人がカメラを構えていました。
電気通信大学自由工房からは一般部門に6台、画像処理部門に1台が出場しましたが、残念ながら1台も完走できませんでした。夏のルネサスマイコンカーラリー競技大会にはマシンを調整し、挑みます!
大会の感想
鹿島健吾君(電子機械工学科3年)
今回の大会では、完走することができませんでした。というのも、元々私の知識が足りていないというのもありますが、大会直前に様々な仕様変更をしたのが原因だったと思います。
まず、前輪部のデファレンシャルギアが壊れてしまったこと。仕方がないので、後輪駆動に変更し、後輪に対するモータの数を一つ増やしました。その結果、速度は以前よりも早くなりましたが、後輪のギアなどに対する負荷や加重が一気に増え、ギアが完全に磨耗してしまう事態が発生しました。スタートさせるたびに異音がしていたのはそのためです。
そして、速度が上がったことによりプログラムに関しても今までのようにはいかなくなり、結果、私では制御しきれないということになってしまいました。
また、私の機体のパーツは諸々含めて3,4年ほど現役でしたので、速度の増加により、メンテナンス不足によるガタも目立つようになりました。
今後は色々と忙しくなり、次に参加できるかはわかりませんが、機会があれば今の機構を使用した新しい車体を設計して大会に臨みたいと思います。
「真空アツリキシン」の動画(第1走)
目黒隼人君(機械工学科3年)
今回電通大杯に初めて出場しましたが、2回のタイム計測をして2回とも記録なしという結果になってしまいました。去年の8月からマイコンカーを始めたので時間的に厳しかったとはいえ非常に残念な結果です。
1月にマシンの設計を完成させて2月に入ってから週6日で朝から晩まで車体製作、配線、プログラムを書いて一気に完成までさせたのですが、コースを走らせるのが大会1週間前になってしまいました。
コースを走らせてみると5回に1回の確率で完走できたのですがコースアウトするか、一定区間走るとマイコンがリセットする、サーボがフリーになるというトラブルが起きました。マイコンがリセットするのはマイコンに生じるノイズがリセットを引き起こすと考えられたので、コンデンサをマイコンに半田付けしたところリセットしなくなりました。
8月に与えられていたR8というマイコンが突然書き込めなくなりなったので、H8というマイコンに変えたのですが、それまで壊れたら搭載するマイコンがなくなるところでした。
サーボがフリーになって手で自由に動かせてしまう現象が起きる原因は、長い間分かりませんでした。サーボや駆動回路を変えてみたり、ハンドルを切った時にサーボを支えている板が軸受けの角に当たっているのでクランクを曲がるときのハンドル切り角のプログラムを見直すなどを試みましたが、改善されませんでした。
しかし、車体を持ち上げてモーターを回転させ、その下でいつもコースを拭いている道具を動かすとすぐにサーボがフリーになってしまうということが起きました。これでその道具に帯電していた静電気がサーボに影響を与えていたことが分かりました。
そこで車体にアース線をつけ、車体全体を導通させたところ改善しました。原因が分かったのが大会2日前で、あきらめかけていたので胸をなでおろしました。
まともに走るようになったのが大会1日前で、それなりの速度で完走を何回もしました。ところが大会当日は、コースで試走している時にクランクで落ちてしまいました。非常に速度制御が難しい箇所で、落ちるマシンが多いところでした。
プログラムを調整してマシン調整室に設置したコースで何回も試走させましがクランクで落ちるのが直らず、そのまま1回目の計測をしました。スタートバーのセンサがはたらかず手動による開閉を申請しましたが、開く前にマシンをスタートするという失態を2回もしてしまい、車体をセットして90秒経過してもスタートできなければ失格というルールにより記録なしということになってしまいました。
結局そのまま、プログラム調整を続けたのですが、2回目の計測ではスタートはできましたが1つ目のクランクでコースアウトするという結果でした。
せっかく頑張ってマシンを作り上げても完走しなければ意味がありません。来年に向けての課題としては、現在のマシンをいかに安定かつ速度を出して走行させるプログラムを組むことです。完走できないのはマイコンカーとして意味がないと思うので当面の目標は完走させることです。
「イーグルアイ」の動画(第1走)
大西祐喜君(通信工学科2年)
電通大杯の前日までは練習用のコースを設置しており、そのコースで私のマシンは1周の平均速度が3.4 m/sまで出せるようになりました。
前日の夜にコースを電通大杯のコースに設置して走らせると、最初の長い直線からのカーブの所でコースアウトしてしまい坂に衝突してセンサー基盤が大破してしまいました。急遽センサー基盤を作り直したのですがセンサーのブレが大きく、スピードを落としても走らない状態になってしまいました。そして電通大杯当日で調整を行ったのですが不安定なままタイムを残すことができませんでした。
1走目は1週走ってくれたのですが、最後の右クランクでカタンと音がしたと言われ、コースアウトと判定されてしまいました。スピードを落として走らせていたため、低速進入時のクランクの速度制御が不十分で、だいぶ内側でクランクを走ってしまったと考えています。
2走目は1つ目の左クランクで右に切ってコースアウトしました。センサーを換えてセンサーのブレが以前よりも大きくなっていたので、誤検出したのではないかと考えています。
今後はルネサスマイコンカーラリー大会を目指して、マシンの調整を行なっていきます。私のマシンは保存機能がないので、大会前日までの走行調整で走行ログが取れないとこれ以上調整するのが厳しい状態になっていたので、これからは走行ログが取れるようにして調整を行なっていきます。あと、高速進入時のカーブのスピード調整が厳しかったので先読みセンサーを製作して確実に綺麗に曲がれるようにして行きたいです。
「回送」の動画(第1走)
中森智史君(電子機械工学科2年)
今年度の電通大杯は新しい技術にチャレンジしたいと思い、四輪操舵で高速走行しようと考えました。しかしながら、新しく採用したウォームギアでは操舵に性能不十分と判断したので、今回はマシンを友人に借りて、代替機で電通大杯に挑むこととなりました。
マシン変更の決定が、大会の1週間前の出来事でした。1週間でレンタルした車体をリストアして、走行させることはかなり難しかったです。直線やカーブなどひと通り走らせることができたのですが、クランクやレーンチェンジでは結局納得できるようには走りませんでした。
クランクでは当然マシンが進入時の速度に対応してきちんと曲がれることが重要ですが、繰り返し検証していたものの、結果的に完全に調整することができませんでした。
また、前日に故障した部品の交換をしたところ、レーンチェンジでの操舵角度の調整が効かずに、レーンチェンジの調整を再度しなければなりませんでした。
今回はマシン調整をして、大会での完走を目指していましたが叶いませんでした。
大会までの調整にハイスピードカメラで撮影して、マシンの挙動を逐一記録したので、より確かな動きの確認ができるようになりました。そのおかげで走行時の挙動や、不具合の原因、対処などひと通りものにできたと思うので、これを踏まえて次の車体を新規作成して、活かそうと思います。
次のルネサスマイコンカーラリー大会には新しいマシンで、四輪操舵車をより早く走らせられるように、目指します。
「隣から借りた猫」の動画(第1走)
三原和也君(通信工学科2年)
結論を先に言いますと走りませんでした。去年の電通大杯は、モータはマブチモータ、センサーはデジタルセンサー、サーボはデジタルサーボでしたが、今年は、モータはマクソンモータ、センサーはアナログセンサー、サーボはマイコンカーで言うアナログサーボでした。制御が格段に難しかったです。
1走目は1つ目の左クランクでタイヤが落ちたので、2走目に備えてクランクを調整しました。2走目は1走目のクランクを突破しましたが、坂下のハーフラインで安定せずコースアウトしてしまいました。落ちた原因は調整不足とプログラムの完成度が低かったので、もう少しこの車体で頑張りたいと思います。
調整不足に関しては、電池をフル充電の時のモータを100%回したときのエンコーダ値は分かっていましたが、減速値は把握していなかったので、クランクの直角検出の時の速度が一定にはならず、その結果少しタイヤが落ちました。
試走の段階で、4m近い直線で最高速度が出た状態でカーブに突入すると落ちる事があったので、直線最高速度後のカーブ走行できるように対応させたいと思います。懇親会で登先生にアドバイスをもらったので、それを参考にして調整したいです。
速度制御は電圧最大値の時のモータのPWM最大値におけるエンコーダ値を取り、その値を利用し、加速調整していましたが、マクソンモーターだとトルクが高いので、ブレーキを踏むとマブチモーターと違いすぐに反映されるので、減速調整もしないといけないことが分かりました。
次回の試走会などに向けて加速だけでなく減速の調整をします。
大会を通じて、ルネサスマイコンカーラリー大会で上位の方にプログラムや車体について、詳しく聞けるのはとても良かったです。上位マシンの走りを見ると自分の走行に無駄な部分があるとよく分かりました。
次回の試走会ではとりあえず、平均速度3.6m/s で走行したいです。ルネサスマイコンカーラリー大会では、トーナメントには残りたいです。
「トイカケボシ」の動画(第1走)
高城康一君(電子機械工学科1年)
今回の電通大杯では、初めて自作したマシンで参加しました。結果は残念ながら完走できませんでした。
大杯前日や大杯当日の試走では完走できていましたが、本番では1走目はクランクの内側にタイヤが入ってしまいコースアウトになりました。2走目ではセンサがスタートバーに反応せずマシンが動かず、それをモータが外れたと勘違いした私は車体をコースから持ち上げてしまい、失格になってしまいました。
私自身が製図や加工をするのが初めてで、そのうえ自由工房に来れる日も少なく製作時間があまりなかったということもあり、電通大杯までにマシンが完成するかどうか不安でした。それでも先輩方に手伝っていただいてなんとか大杯3日前にマシンは完成しました。
今後はもう少し自由工房に参加できる日を増やして、余裕をもってマシン製作をしていきたいです。そして次こそは大会で完走して記録を残せるようにしたいです。
「モヒカン」の動画(第1走)
スナップ