電通大杯 第6回マイコンカーラリー 開発レポート(大西)
大西祐喜(通信工学科2年)
はじめに
マイコンカーに取り組むきっかけ
入学した頃J号館の1階で自由工房のマイコンカーの展示を見てマイコンカーに興味を持ったため。
取り組むに当たっての目標
ルネサスマイコンカー競技大会でベスト16位に入る。
車体設計、加工、組立について
- 車体の形はそのままに前シャーシや本体シャーシ、基盤固定用の板、一部自作サーボ部品などをカーボンで作り直し大幅な肉抜きを行った。
- 従来のエンコーダを本体シャーシに取り付ける方式ではなく、後輪ギアボックス間を橋渡しする部品をカーボンで製作し、そこにエンコーダを取り付けた。
- エンコーダが跳ねないようにエンコーダと本体シャーシをゴムで繋いで下へ誘導していたのだが、このやり方ではコースアウトした際にゴムがコースと接触することによって切れてしまうことがあったので、エンコーダ固定部分に支柱を立て、エンコーダの上からゴムでエンコーダを繋ぎ、エンコーダを下へ誘導することにした。
- エンコーダの固定方法を変える事によって電池を縦置にすることができたので、電池の置き方を従来の横置きから縦置きに変更した。
- 譲り受けたカーボンのセンサーアームとマクソンモータを使用した。
カーボンの加工は大変だという話しを聞き、肉抜きする箇所も多かったのでCNCを用いて加工した。
プログラム面での工夫について
マブチモータ4駆からマクソンモータ4駆の変化に伴うプログラム全体的なマイナスブレーキ値の緩和。
case11の通常トレースにカーブの途中でスピードが上がるプログラムを実装。
センサーが大きくぶれた時のブレーキをかけるプログラムの実行パターンの変更
if( center_inp() == 0x00 && ( b == 0x03 || b == 0x0c ) ){ ........ }else if( center_inp() == 0x00 && ( b == 0x01 || b == 0x08 ) ){ ......... }
となっていたものを
if( center_inp() == 0x00 && ( b == 0x03 || b == 0x0c ) ){ ........ }else if( center_inp() == 0x00 && ( b == 0x01 || b == 0x08 ) ){ ......... }
に変更した。
高速時、真ん中のデジタルセンサが消えたら減速をかけるプログラムを実装。
大会での結果
結果として本走二走ともコースアウトし、記録は残らなかった。
一走目は1週走ってくれたが最後の右クランクでカタンと音がしたと言われ、コースアウトと判定された。スピードを落として走らせていたため、低速進入時のクランクの速度制御が不十分だったので、だいぶ内側でクランクを走ってしまったと考えられる。
二走目は1つ目の左クランクで右に切ってコースアウトした。センサを換えてセンサのブレが以前よりも大きくなっていたので、誤検出したのではないかと考えられる。
前日にセンサが大破し、センサのブレが大きく不安定になり、大会で取り組んできた成果を発揮することができなかった。
図1.コース上での脱輪箇所
検討・考察と今後の課題
車体設計、加工、組立
- カーボンで作り直し肉抜きをしたことによって、車体重量が1kgを超えないようにすることができた。一番下の本体シャーシは肉抜きをしすぎたと思ったが問題はなかった。
- CNCによる加工は失敗なく精度よく加工できた。
- エンコーダのゴムが切れる頻度がかなり低減した。
- 以前のマブチモータよりマクソンモータを使用することにより加速性能と最高速度が格段に上がった。特にブレーキ性能がかなり向上した。
プログラム面での工夫
- ブレーキ値0でもブレーキが効いてくれるのでブレーキ値のマイナスがかなり減った。
- カーブの途中でスピードが上がるプログラムは実装してもタイムが変わらなかったため破棄した。
- センサーパターンを変更することによって、より高速時のブレーキに対応した。
- スピードを上げていくと3.3のセンサーパターンでも曲がりきれないようになったので、スピードが速い時に真ん中のデジタルセンサが消えたら減速をかける事によって3.3よりも早い段階でブレーキをかけるようにした。
今後の課題
一番の課題は高速時からのカーブ突入の際のブレーキである。これに関しては先読みセンサを製作して対応させる予定である。
自作サーボ機構のバックラッシについて、現在はマクソンモータの部分が片持ち状態になっており、そこがバックラッシの原因の一つになっているので両持ちにするなどして改善したい。
今回は定性的にしかやってこれなかったが、これからは走行ログを見られるようにして定量的にやっていこうと思う。
まとめと感想
前日にセンサが大破するまでは3.4m/sで走っていたので大会で同じ走りができなかったことは非常に悔しい。このようなことがないように予備のセンサ基板を予め製作しておき、予備でも走れるようにしていきたい。