特別講演会「知能ロボットの最前線」レポート

2017年3月22日にメカトロニクス基礎研究所主催で「知能ロボットの最前線」をテーマにした特別講演会が開催されました。自由工房のメンバーはもちろん、高校生を含む69名が参加しました。

今回は、講師に梶田秀司氏をお招きし「DARPAロボティクスチャレンジ決勝戦から見えてきたヒューマノイドロボット技術の今後」について伺いました。

梶田先生は、ヒューマノイドロボット「HRP-2」や「HRP-4C」の開発メンバーです。2015年6月に米国で開催された災害救助用のロボット競技大会「DARPA Robotics Challenge(DRC)」の決勝戦には、産業技術総合研究所としてチームで参戦されています。DARPAで世界23チームとヒューマノイドの技術を競い、その経験からシステム開発のスタイルそのものの見直しや、オープンソースの活用、ラピットプロトタイピングなどを積極的に取り入れなければ、世界で肩を並べてやっていくのは厳しいと感じたそうです。

とても貴重で興味深いお話でした。

 

メンバー感想

植村 哲也君(情報学科2年)

今回の講演会に参加して、同じ人型のロボットでも、大きさや重さをより人に近づけると、自分がやっていた人型ロボットとは違う課題が多く出てくるということを学びました。

例えば、転倒と起き上がりの動作です。私が作っている40cm程度の機体では、転倒しても大した問題もなく起き上がりますが、サイズを人に近づけると転倒の衝撃も命取りになり、起き上がるのも大変になのだということ。同じ人型をしたロボットのレスキューでも、やることのレベルが違う(車の運転やドアの開閉など)という点などです。

ただ、やはり人に近いロボットというのは、とてもロマンがあり、見ていてかっこよかったです。何より話がとても興味深く面白かったので、聞きに行ってよかったと思いました

関 悠伍君(電気電子工学科2年)

私は来年度で2足歩行ロボットを作り初めてから6年目となります。このような等身大のヒト型ロボットを用いたレベルの高い世界の存在を今回の講演で初めて知りました。

今回の講演を聞いて、主に2つのことについてよく考えることができました。

一つ目は最先端のヒト型ロボットと、自分が制作しているヒト型ロボットの違いについてです。私の制作している40cmほどの二足歩行ロボットとは、別物と思うくらいの差を感じました。自分にはまだまだ勉強することがたくさんあると改めて感じました。

二つ目は「大会」「コンテスト」の在り方についてです。DARPAロボティクス・チャレンジは、福島原発事故のような人が踏み入れない場所を想定し活動するロボットのコンテストです。まだまだ発展途上ですが、近い将来、世界に必要とされる技術が発展していくのを感じました。私の参加している大会はエンターテイメント重視のもので、また違った価値観があるのですが、このような人間の役に立つことを目的としたものは非常に大切だと思いました。

黒葛原啓太君(機械工学科1年)

講演会で紹介されたロボットは、災害救助を目的として細かい作業が出来るように設計されていました。自分が作成しているバトル用のロボットは、今回の講演会で出てきたロボとは作る目的からいろいろ違うが、ぜひ取り入れてみたい構造などがありました。

自分が作成しているバトル用では、災害救助ロボほどの細かさは必要ではありませんが、関節の動き方や可動部の構造をぜひ取り入れてみたと考えました。また、物を掴むために手先を柔らかい素材にするなどの話も大変参考になり、聴講してよかったです。

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