第15回レスキューロボットコンテスト競技会本選 見学記

2015年8月8~9日の2日間、神戸サンボホールでレスキューロボットコンテストの本選が開催されました。自由工房は、神戸予選の結果、本選出場は叶いませんでした。予選では、自分達のロボットを調整するのに必死で、他チームのレスキュー活動をじっくりと見ることができません。だから、今後の活動の参考とするため、有志で本選を見てきました。

メンバー感想

高木裕一郎君(電子機械工学科3年)

今回、レスキューロボットコンテスト本選の見学に参加をしました。

8月8日、1日目のファーストミッションでは、出場するロボットの特徴に驚きました。まず、ロボットの動くスピードがすごかったです。特にレスキューHOT君や大工大エンジュニアとかがすごかったです。見ていると自分たちの作ったロボットがとても遅いんだなと思いました。

その他に、驚いたのが出場するロボットの数です。今まで、出場するロボットは、だいたい3台から4台ぐらいが普通だと思っていましたが、本選では、6台から9台ぐらいで出場するチームがありました。そのチームのロボットは、救助と除去ロボット以外のロボットには、TPIPが使用されていませんでした。このTPIPが使用されてないロボットが印象に残りました。

8月9日、2日目のセカンドミッションとファイナルミッションを見て、表彰式と閉会式を聞いて、終わりました。この日に印象が残ったのは、都工機械電気チームが大工大エンジュニアチームにダミヤンの位置を教えたことです。

この2日間の競技を見て、レスキューロボットコンテストは出場するロボットがとても変わったと思いました。出場するロボットは、TPIPを使ってない機体や本当の災害現場で、助ける人だけでなく、それ以外の人のことを考えて作られてる機体が出てきました。

これからは、本当の災害現場でレスキュー活動するとき、何が必要かを範囲を広く考える必要があると思いました。

近藤 吏君(電子機械工学科3年)

全編を通して、機体のアクシデントや練習不足、機会に恵まれないこともあり、紹介されていた機体や機能を見ることができないこともあり、残念な部分もありましたが、それはチームの実験的な挑戦の部分が多く、本命に関してはかなり高い水準になってきていると感じました。

特に機体の移動は速くて安定しており、チームの連携は徐々に多くのチームがトリアージを前提に組み込んでいました。

また、救助の実行だけでなく、周囲への情報共有(スピーカーやモニター)や高度な情報収集に取り組むチームが増えています。

これらをみて、優勝候補となるマシンは前年から大きくモデルを崩さず、より改良を積み重ねた機体であり、コンセプトはトリアージ、情報共有の徹底、機体同士の連携、周囲への声掛けなど前年のピックアップされた有益なシステムを取り込んでいく姿勢が見えました。

まとめとして、各々のチームが特定のマシンをモデルチェンジせずに改良を加えることで堅実でよりよいマシンにしていくとともに、技術が蓄積されていると思います。それは現在の私たちの毎年コンセプトを変え機体を新造する体勢とは正反対です。ですから私たちには技術の蓄積に問題があったのかもしれません。

本選の出場者を見倣うならばまず中核としてコンセプトの固定された機体を作り、それを通じて得た技術的な基盤の上で年々の大会の評価点や新たな技術に挑戦していけばよいと考えました。

須下貴博君(電子機械工学科2年)

今回、本選一日目は諸事情により行くことができなかったので二日目について書きます。今回の本選を見て、やっぱりダミヤン回収をアーム式からベルトコンベア式に変えるべきだと考えました。

そう思った理由としては、まず根本的に誰でも操縦できるというのが一番いいのにもかかわらずアーム式だとそれができない。なぜなら、アームだと救助するときのアプローチ方法も限られてくるし、脇の下にアームを入れるというのも練習しなければならない。

さらにそのアームを入れるのを失敗してしまえばダミヤンにダメージを与えてしまうかもしれないからです。ベルトコンベアだとこの心配がほとんどないと思います。

現に今回の大会では、ほとんどのチームがアームでの救助をしていなかったです。これらが、私がベルトコンベア式に変えるべきだと考えた理由です。

他にも大工大のようなセンサーを使って自立機動するマシンなどのような技術を作ってみたいとも思いました。まだ具体的にどのようなものかは決まっていませんが作りたいと考えています。

次の大会では、これらのことを実行したいと考えています。

能㔟賢人君(電子機械工学科2年)

今回は二日目のみの参加で本選を見学してきました。

本選に参加しているチームはロボットの完成度が高いものばかりで、今回は動くスピードがかなりはやく自分たちのとは比べ物にならないです。

自分たちは救助アームを使ってましたが今ではベルトコンベアが主流で次から取り入れるべきだと思いました。

そして、チーム内で統率がされており救助活動がスムーズでした。自分たちには課題が多く一気に解決しようとせず、他のチームは同じ機体を改良しているらしいので地道に一つ一つ積み重ねていけばと思いました。

藤田 勝君(電子機械工学科2年)

本選に出場しているチームは大きく2つに分けることができるかな、と思いました

1つはレスコンというゲームをしているチーム、もう1つは模擬レスキューをしているチームです。

それぞれ具体的に名前をあげると、ベストパフォーマンス賞を取った”なだよりあいをこめて”とレスキュー工学大賞を取った”大工大エンジュニア”です。

本来目指すべきは後者のスタイルであることは間違いないが、まずは後者に比べやりやすい前者のスタイルの頂点であるスコアトップを目指してみようと思います。

スコアトップを取るために必要なことのうちわかりやすく不足しているのは単純な速度とダミヤン識別のノウハウです。

前者は今すぐにでもできますが、後者は今年度からのアプローチになるので注力していきたい。

栄楽友裕君(電子機械工学科1年)

自分は初めてレスキューロボットコンテストを見学させて頂きました。

流石、人を救助する仮定で行われているにあたってのことなので審査が凄く厳しいことが分かりした。思った以上に様々な面白いロボットがありました。

会場唯一のヘリコプター型偵察ロボット(とくふぁい!)や縦に伸びて救助中の掲示板を出したロボット(メヒャ!)や温度と湿度を自動で測定するロボット(MCT)などあり、将来の参考として造ってみたいロボットでした。

一年後、予選も含めて行きたいと思いました。

岡本瑛歩君(電子機械工学科1年)

今回のレスキューコンテスト本選に際して私は大まかな目標を1つ立てていました。

それは要救助者のダミー人形(ダミヤン)を全て救助できているチームのロボットの、自分が気になった機構を詳細に記録することでした。理由は他のチームに無い自分達のチームの個性や、特に力を入れている部分も大事だが、まずはダミヤンを迅速かつ正確に救助するという基礎の部分も大事だと思ったからです。

結果として、強いチームに共通するいくつかの機構を発見し記録することができました。例としては、ロボットのベット部にはベルトコンベアが使用されており、角度を調整することができる、総じて全てのロボットの移動速度が速い、その場で旋回できるように4輪駆動かメカナムホイールが実装されている、各ロボットごとに役割が決まっている(万能機が少ない)と言ったものがありました。

大会後、短い時間でしたが先輩とこの結果について話し合うことができました。まだ確定ではありませんが、この結果の内のいくつかの機構は実際に作成するかもしれないです。

今回の本選では以上のようなことを知ることができましたが、もう1つ、私にとって大きな発見がありました。それは各チームのコンテストに対する姿勢です。これは本選に出場していた全てのチームに言えることなのですが、皆何かしらの特徴を持っていました。

それは徳島大学なら飛行型偵察機、都工機械電気なら多脚ロボット、大阪工業大学なら避難誘導用の電光掲示板などです。どれも直接点数には響しないものばかりです。しかし、それらからは救助される側のことを第一に考え、自分達の持つ技術を存分に発揮しようとする意思が伝わってきました。

今後、他チームのロボットを見学する機会があればそう言った「特徴」の部分にも注目したいと思います。

西尾昌征君(機械工学科1年)

自分は試合中ずっとカメラで試合の様子を撮っていました。今後の参考にするためです。

出場したのはがんばろうKOBE、なだよりあいをこめて、MCT、長湫ボーダーズ、TRC、都工機械電気、大工大エンジュニア、IPL0x14、産技荒川隊、SHIRASAGI、メヒャ!、とくふぁい、MS-R、レスキューHOT君の14チームでした。

試合はすべてのチームが同じ流れで進めています。

まず道路上の瓦礫を除去(瓦礫を押して道の脇に移動させている)。そして家瓦礫の中と棒瓦礫の下のダミアンを同時進行で救出。最後に高台の上で瓦礫の下敷きになっているダミアンを救出して終了。

試合の際にはチーム同士で協力して救助する光景も見られました。

例えば動けなくなったロボットを相手チームのロボットに押してもらうなど。これは審査員から高く評価されていました。

さらに今回は除去機や救助機以外にユニークなロボットが投入されていました。

都工機械電気は多脚ロボットを使っていました。スピードはとても遅い。しかし瓦礫密集した状況なら多脚は強力な武器になります。

とくふぁいは飛行ロボットを使っていました。残念ながら、活躍する場面はあまり見られませんでした。だが、離陸と滞空はできていました。安全な着陸ができれば、本当のヘリカメラが登場することになります。

長湫ボーダーズはダミアンの状態を色で表示するロボットを使っていました。これはトリアージと言われているものです。災害の現場で要救助者の状態から優先順位をつけます。例年に比べて各チームの技術レベルが格段に上がっています。こうなると、来年からダミアンの救出がかなり難しく設定されることも考慮する必要があるかもしれません。

また、各チームはいかに情報を共有するか、ロボットの操縦を簡略化し操縦者の負担を減らすかなどもよく考えられていました。たとえば情報共有システムの構築やマスタースレイブシステムの投入などです。

多少の不備も見られたがそれらは正常に可動していました。おそらく何度も検証や練習を重ねてきたのでしょう。

本選は自分たちとの差を見せつけられると共に意欲を掻き立てられる素晴らしいものでした。あまり活躍できなかったロボットもあったが、時間を掛ければ、かなり完成度の高いものが仕上がるでしょう。

来年こそは自分たちが本選に進むためにこの長期休みに私の技術力を高めたいです。しかしロボットなど一人で作ったことなどないので、手始めに簡単なラジコンのようなものを作ろうと思います。

松下詠一郎君(電気電子工学科1年)

レスコンの大会を見て思ったことは、建物のほうからの救出はほとんどどこも安定して終わっていました。棒のほうの2体のダミヤンを救出できてないところが本選でもそこそこ見受けられました。予選のときからみていて、アームとカメラ機構の重要性を理解しました。

パフォーマンスをするようなところはしっかりと基礎ができていてそこからさらにそこに力を注いだんだなと思いました。たとえば、電光掲示板や蜘蛛のようなロボット、さらにはドローンなどを出してきたところは、しっかりと救助を行えていました。

それを踏まえてパフォーマンスは評価に関わり大きな点数になるが、しっかりと救助できることが優先だとおもいました。

2日目は諸事情で途中から観に行ったので、お盆が明けたら動画を工房で見ようと思っています。