2009年 ルネサスマインカーラリー競技大会

2009年8月23日 秋葉原UDXにてルネサスマイコンカーラリー競技大会が行われました。

大会は一般の部とオープンの部に分かれており、自由工房からは「音速侍」(古川陽介君:電子機械工学科4年)、「☆rev.改」(石村仁君:医療福祉工学科2年)、「刀走」(富田信君:電子機械工学科2年)、「わんこtypeR」(増田健剛:電気電子工学科2年)、「×とんかち×」(和田貴大:情報工学科2年)が一般の部に参加しました。

開会式はルネサスマイコンカーラリー事務局からの挨拶で始まりました。競技解説に滝田 好宏教授(防衛大学校 情報工学科ロボット工学講座)を招き、試合が始まりました。

午前7時過ぎ、会場入り口に続々と選手が集合し開門と同時に場所取りをして車検受付。その後、本コースでの試走を行いました。試走は一人1回行うことができます。自分の出走順までは、マシンの調整は試走コースで行います。

予選

今大会のコースは全長80.39mと過去最長でした。長いだけではなく、4連タコツボや3連クランク、坂の上でのレーンチェンジ、去年同様の連続レーンチェンジも含まれていました。クランクは計6ヶ所、レーンチェンジが3ヶ所あるトリッキーなコース設計でした。予選は2回走行し、走行タイムの良い順番で上位32名が決勝トーナメントに進出できます。

一般の部の出場台数は、113台。予選を完走したマシンは40台でした。自由工房から出場したメンバーのうち、富田君、石村君、和田君が完走。古川君と、増田君は残念ながら、コースアウトしてしまい完走を果たせませんでした。完走した3人は決勝トーナメントに進出しました。3台のマシンが決勝トーナメント出場権を得ましたが、これは大学チームとしては最多でした。

予選動画

音速侍(古川陽介君:電子機械工学科4年)、わんこtypeR(増田健剛:電気電子工学科2年)(WMV形式 5.9MB)
刀走(富田信君:電子機械工学科2年)(WMV形式 7.0MB)

予選タイム

富田信君:電子機械工学科2年 00’24”29 17位
石村仁志君:医療福祉工学科2年 00’27”38 25位
和田貴大君:情報工学科2年 00’28”18 27位

予選コース

公式サイトpdfより転載

決勝

決勝は、タイムトライアルの予選とは異なり、トーナメント戦になります。予選記録よりも速いタイムを出しても、対戦相手がより速ければ負けてしまいます。逆に対戦相手の調子を読んで、自分は速度を落とし確実にゴールすることで勝ち進むこともできます。

1回戦は、石村君がσS4(堤谷孝章氏)、富田君がFRAGILE009(河野純也氏)、和田君がSTIKK(中岡進氏)との対戦となりました。3人とも、決勝トーナメント1回戦目で惜敗しました。

決勝戦は、予選1位の件−くだん−(徳永弦久氏)と、同2位のテスタープロト(深澤則正氏:GTマイコンクラブ)の勝負になりました。件のタイム:00’20”44で、わずか0.12秒差で優勝しました。試合終了後、優勝した徳永氏のマシン「件」の走行をハイスピードカメラで分析・解析したものをメインモニターに映し、解説者の滝田教授からスピードアップの秘訣を解説してくださいました。

全国大会だけあって、参加しているマシンは速かったです。地区大会よりも、プレッシャーが大きく感じました。競技で、他のマシンの構造や走り方を見ると自分達との差がよくわかるので、非常に勉強になりました。上位を目指すには、完走できるだけでなく、マシンの完成度とスピードを上げないといけないと痛感しました。今回の経験を活かし、マシンの完成度をもっと上げていきたいです。

決勝トーナメント動画

☆rev.改(石村仁君:医療福祉工学科2年)(WMV形式 3.7MB)
刀走(富田信君:電子機械工学科2年)(WMV形式 5.8MB)
決勝戦。テスタープロト(深澤則正氏:GTマイコンクラブ)VS 件(徳永弦久氏)(WMV形式 5.9MB)

決勝コース

公式サイトpdfより転載

大会の運営スタッフとして林雄一君(自由工房)、畠中一輝君(電子機械工学科2年)、大林尭史君(電気電子工学科1年)が手伝ってくれました。協力ありがとうございました。

大会の感想

古川陽介君(工学部 電子機械工学科 4年)

今回、大会に出場した結果は、予選で2回とも完走できませんでした。

マイコンカーはどんな状況でもきっちりとした処理を行わなければならないのですが、車と同じように走行速度が上がれば遠心力など色々な要因が発生してきます。すなわち、どのような速度でも最適な処理を行えるようにしなければなりません。これはマイコンカーを走らせて調整していくしかありません。

今回、2回ともクランクで停止したのはクランクでの速度制御と処理がうまく打っていなかったと考えられます。大学ではこの部分はクリアしていたので問題ないと思っていましたが、「もう少しこの部分も調整しておけばよかったな」と今でも悔やんでいます。

走行ログと撮影データからまだまだ改善の余地がある部分を発見することが出来たので、プログラムを改良し、2009年度電通大杯での優勝を目指します。

大会に出場し、技術面についてもいろいろ考えました。マイコンカーは前方に取りつけてあるセンサーでコースを判断しますが、とても速い速度でセンサリングしているため、ロボット自体がきっちりと製作されていないと、シャーシのねじれや車体にガタがきます。これらがロボットの走行全てにかかってきます。確実な走行を行うためには、まずハード面をきっちりと固めた上でプログラミングを行うことが大事になると思います。

またロボットをどれだけ正確かつ高速に走行するプログラミングをしているかによっても、速いマシンと遅いマシンの差が生まれます。自分のロボットに「あれも」「これも」とプログラムを追加すると反ってロボットを遅くしていることがあります。ロボットのプログラムは、高度な処理をシンプルに組むことが必要だと思います。複雑なプログラムを組むと、大会中に自分で確認しようとしても解らなくなることもあるからです。今大会の経験から、より確実でシンプルなプログラムを組むことが大事であると実感しました。

石村仁志君(医療福祉工学科2年)

車検後、本コースで試走した際に、左上のカーブでコースアウトしてしまったので、設定値を下げて本番に挑みました。当然カーブのスピードは落ちましたが、完走はできました。1走目を27秒38で完走できました、2走目は記録更新を狙い、試走でコースアウトした値近くまで設定値を上げて挑みました。しかし、同じ左上のカーブでコースアウトしました。

予選25位の成績で決勝トーナメントに進出できました。
1回戦のσS4(堤谷孝章氏)は予選7位のマシンでした。タイムでは叶わないので、安定走行で完走しσS4のトラブルを期待するいささか消極的な作戦を採りました。
そこで予選1走目の設定値で挑みました。しかし、左下の坂の上でコースアウトしてしまいました。σS4は22秒台で完走したので、完敗です。

コースアウトの原因は、カーブでの不安定な走行だと考えています。後輪2モータのリアヘビーなマシンなので、調整時にハイスピードカメラから、後が振られながら走っているのは分かっていました。マシンの構造上、前後同回転の疑似4輪独立のため、安定走行は不可能でした。

決勝でのコースアウトは、逆走になった際、坂の上に登ってからカーブに入るまでの直線の長さが短くなっていることに気付かなかったというミスと、坂道を検知することができないマシンだったということが原因です。全体を通して、まず、立ち上がりや直線は6モータのおかげで加速、ブレーキ、最高速もそこそこ伸びていました。後は4輪独立構造にして、坂道検知を確実に行えばカーブ走行が安定し、坂の上にも対応できていいタイムが出せるのではないかと思います。

増田健剛君(工学部 電気電子工学科 2年)

今大会は、直接エントリーにより「誰でも出場できる」という環境だったので上位に入れる可能性が十分にありました。にもかかわらず、予選敗退という結果に終わりました。

原因の大部分はプログラムの弱さにあると思っています。学校の練習用コースで走れるだけではなく、大会でどんなコースが設定されていてもクリアできるような、応用のきくプログラムにしないといけないな、と思いました。

機体の安定性も、まだまだ不足しています。「一度走れたコースを2回目走らせて、コースアウトしてしまう」というトラブルがあるので、何回走行しても完走できる安定したマシンにしたいです。大会での経験を活かし、次はもっとよい結果が出せるようにしたいと思います。

富田 信君(電子機械工学科 2年)

一般の部には、今年で2回目の出場になります。今年は80メートルという今までに無い長さのコースでしたが、タイムは24秒42で16位という好成績を残すことができました。去年は予選20位だったので、嬉しかったです。

しかし、決勝トーナメントではマイコンカーの故障でコースアウトしてしまいました。来年は新たにマイコンカーを製作して大会に望みたいと思います。


和田貴大君(情報通信工学部 情報工学科 2年)

全国大会には強豪が集まるので、コースの難易度は想定を超えていました。予選1走目は、わずかにコースアウトしてしまいリタイア。マシンの再調整を行って、2走目は全速力ではないものの28秒18で完走。予選27位で、決勝戦へ出場することができました。トーナメント1回戦では、STIKK(中岡進氏)に5秒の大差をつけられ敗退しました。

去年よりも速度的には速くなりましたが、全国大会で上位に残るためには、さらなる安定化とスピードアップを図る必要があります。来年は、上位に食い込めるようなマシンを作成し、100分の1秒を争うようなレースを繰り広げたいと思います。