「ヒト型レスキューロボットコンテスト in 天保山」出場記
2011年2月26日(土)〜3月6日、大阪南港にある天保山マーケットプレイスにおいて「天保山ロボットフェスタ」が開催されました。本稿では、5日(土)に実施されたヒト型レスキューコンテストデモンストレーションのレポートします。
レポート
連日、親子連れでにぎわうロボットフェスタ特設ステージで、ヒト型レスキューロボットコンテストのデモンストレーションが開催されました。
ヒト型レスキューロボットコンテストは、毎年夏に神戸で開催されるレスキューロボットコンテストから(以下レスコン)派生した競技です。レスコンをもっと広く知らしめるために、少人数で気軽に出場できる競技会として2009年よりヒト型レスコンをスタートしました。
今回、一般の親子連れが多数来場する天保山マーケットプレイスで、ヒト型レスコンをアピールする機会を得て、自由工房からは、2010年大会で優勝した荒柴祥太君(大阪電気通信大学 自由工房)があすらRCで出場しました。
荒柴君は1、2回のチャレンジで要救助者の搬送に見事成功。そして、3回目は、ロボットに搭載したカメラからモニターに送られた映像だけで救助活動にチャレンジしました。わずかに制限時間をオーバーしましたが、救助に成功しました。
レスキュー活動の内容だけではなく、高い技術力を評価され、荒柴君が大賞を受賞しました。
公式サイト
感想
荒柴祥太君(情報工学科2年)
ヒト型レスキューロボットの競技に参加するのは、2回目です。秋に電通大で開催された「電通大杯 ヒト型レスキューロボットコンテスト 2010」では、初出場で優勝をできました。そのため「前よりもすごいことをしなければ・・・」という、プレッシャーがありました。
今回は、競技というよりも「ヒト型レスキューロボットコンテストを広く知っていただくためののデモンストレーション」という趣旨だったので、救助する「スピード」よりも、「魅せる救助」「より確実な救助」「観客との一体感」を目標にロボットを調整してきました。
当日は、デモンストレーションをする機会が3回ありました。朝からすごく大勢の親子連れが見ていてくれました。もしかしたら、毎回見てくださっている人がいるかもしれないと、自分なりに見せ方を工夫しました。
1回目は、電通大杯のときの予選の障害物配置、2回目は本選の障害物配置。そして、3回目はロボットに搭載したカメラを通じた情報で遠隔操縦して救助活動。と、徐々に難易度を上げてチャレンジしました。
実をいうと、参加エントリーをした当初は、カメラ映像のみでの救助活動を予定していました。しかし、カメラ自体の視界が狭く、またロボットの胸に搭載したカメラ可動させることができないため、救助するために必要な映像情報を得るのが難しかったです。何度も練習を積み重ねましたが、補助的にカメラを使えば、確実に救助を成功にできても、カメラのみでの救助活動は一度も成功できませんでした。
本番当日に、「救助できない」では、応援してくれる子ども達をがっかりさせてしまうので、1回目と2回目はカメラを補助的に利用するにとどめました。カメラからの映像があったおかげで、救助活動はスムースに進みました。というのは、要救助者の周囲にあるガレキをどかす時、オペレータからは要救助者役の人形がロボットの影になってしまって見えません。搭載したカメラの映像で、ガレキと要救助者そしてロボットの位置関係が把握できたので、安全な救助ができました。
このように、カメラを補助的に使うと確実に救助ができました。
2回目が終わった段階で、「あすらRC」の記録は2位でした。3回目にスピード重視で救助活動をすれば、1位を狙えると思いました。しかし、自分としては、「スピードよりも技術的なチャレンジがしたい」「ダメもとでも遠隔操縦の救助に挑戦したい」という気持ちが強くなっていました。
成功する勝算は高くありませんでしたが、2回とも救助に成功し、コースの状況や物の配置をある程度把握できたので、「チャレンジすればできるかもしれない。観客の前で、兆戦して成功したい!」と思い、ラストのデモンストレーションに挑みました。
障害物をくぐりぬけるとき、ロボットが仰向けになるので、カメラでは周囲の状況がわからず、支柱にロボット引っかかって動けなくなってしまいました。やりなおしの時間ロスもあったので、ゴールしたのは、制限時間を22秒タイムオーバしていました。ゴールした瞬間に、観客の方々からの大きな拍手をいただけて、やってよかったと思いました。
優勝はできませんでしたが、大賞をいただくことができました。ヒト型レスキューロボットでは、カメラによる遠隔操縦は、まだまだ未知の領域です。自分のチャレンジで、新しい救助のカタチを提示でき、今回のデモンストレーションでの目標は達成できたと思います。
スナップ