第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 レポート

2011年2月5日(土)、大阪電気通信大学寝屋川キャンパスの自由工房にて、第4回電通大杯「マイコンカーラリー大会」を開催しました。大阪府内だけではなく、北海道から沖縄まで全国各地から90台のマイコンカーが集まり、試合と技術交流を楽しみました。

リンク

第4回電通大杯 マイコンカーラリー大会

「マイコンカーラリー」オープンセミナー2010

第4回電通大杯 マイコンカーラリー大会 画像処理部門レポート

第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 公式記録

第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 懇親会

第4回電通大杯マイコンカーラリー大会 動画(YouTube)

コース


※コース全長42.55m(クリックで拡大します)

レポート

自由工房では2010年5月から12月まで11回に渡り、定期的にオープンセミナーを開いてきました。マイコンカーラリー大会で全国的に活躍している方々を講師に招き毎回テーマを絞った講義を行い、その後の試走会では実際にマシンを走らせ改良点・問題点を見つけ技術向上をはかってきました。

電通大杯は、1年間の活動の総括として開催しています。大会は、高校生と一般参加を分けて周回タイムを競います。高校生は全国大会出場者を、一般は全国大会決勝トーナメントに出場経験がある人をAクラスとしました。これから全国を目指す人はBクラスに出場しています。

電気通信大学自由工房からは、一般の部Aクラスに和田貴大君(情報工学科3年)、Bクラスに安慶名将君(電子機械工学科2年)、鹿島健吾君(電子機械工学科1年)、増田健剛君(電子工学科3年)、富田信君(電子機械工学科2年)、中森智史君(電子機械工学科1年)、中井智貴君(電子機械工学科1年)の6名、画像処理部門に和田貴大君(情報工学科3年)、中井智貴君(電子機械工学科1年)、林 雄一さん(技術講師)の3名が出場しました。

このページでは、一般の部A、Bクラスのレポートをお届けします。画像処理部門については、コチラのページにまとめました。

動画

一般の部Aクラス優勝 「テスタープロト(深澤 則正氏/GTマイコンクラブ)記録:10″77

大会の感想

一般の部Aクラス

和田貴大君(情報工学科3年)

今大会で、私は完走することができませんでした。今まで出場したマイコンカー大会で、必ず記録を残してきましたが、今回はじめて2走ともコースアウトという結果になってしまい、とても悔しいです。

原因は、湿度にあると考えています。

当日は曇で、すごく湿っていました。車検時のタイヤの粘着力を調べる用紙が3秒を超えて張り付いてしまい、車検をやり直しになったほどです。こんなことは初めてで驚きました。

けれど、もし完走できたとしても私のマシン「×とんかち×」のタイムは13秒が限界です。3位入賞した「 FREE WAY(松井 弘幸氏/TMCC)」と比較しても1秒半以上の速度差があります。

私の「×とんかち×」は、自由工房の中では最速ですが、今のままでは全国大会上位に食い込むことは難しいです。

懇親会の時、大湯先生や徳永さんからとても貴重なアドバイスを頂いたので、参考にしてこれからのマシンに反映していきたいと思います。

今後はどこまで出来るかわからないけれど、後輩にこの技術と経験を伝えていきたいです

一般の部Bクラス

中井智貴君(電子機械工学科1年)

第4回電通大杯に一般Bクラスと画像処理部門に出場しました。一般Bクラスでは、優勝できました。

一般Bのマシン「モモタロ」は、昨年度からアナログセンサ、アナログサーボに挑戦しています。しかしなかなかうまく調整が出来なくて、全国大会には出場できませんでした。

全国大会終了後から、電通大杯に向けて時間を掛けてゆっくりと調整していきました。自分1人では上手く調整できないと思ったので、母校の神戸市立科学技術高校に何度もマシンを持っていき、登先生に大変お世話になりました。

神戸市立科学技術高校にはコースが設営されているので、冬休みにも高校にマシンを持っていき、全国大会に出場する後輩とタイムを競いながら調整しました。

今年に入ってプログラムは今のマシンにちょうどいい感じになり、完走率が上がって調子は非常に良かったです。でも常に調子が良かったわけではなく、大会前日にはハンドル部分のモータの調子が悪くなってしまいかなり焦りました。しかしプログラムの完成度は高かったので、モータの交換だけで調子が良くなりました。

大会当日、朝の試走で2回走らせてどちらとも今までのベストタイムを更新していき、調子を維持することができて良かったです。

しかし、本番は1走目が14秒34と何故かいまいちなタイムでした。それでも1走目終了後で暫定1位でした。このままいけるかなと思ったんですが、2走目で僕の2つ前を走る増田先輩が13秒96を出し、ベストタイムを更新されてしまいました。これで勝てるかどうか分からなくなりました。

緊張しながら自分の2走目。13秒74と自分のベストタイムを更新し、増田先輩のタイムも0.2秒抜いて1位になりました。

ゴールして自分のタイムを確認した瞬間、嬉しくて「よっしゃー」と叫びました。

4年間マイコンカーを続けてきて、やっと結果を残すことができて本当に良かったです。調整場所を貸していただいた登先生、いろいろとアドバイスくださった、工業高校の先生方ありがとうございました。

増田健剛君(電子工学科3年)

今回の電通大杯は、2010マイコンカーラリー全国大会に出場できなかった雪辱を果たすために、必死に取り組みました。その結果、一般の部Bで2位入賞を果たしました。

今年は人のプログラムをコピーするのではなく、これまでの経験を活かしヒナ形から自分のマシン「きょうのワンコ」に合ったプログラム作りを目指しました。

「きょうのワンコ」はデジタルサーボの後輪二厘駆動です。センサの特性も考えて、プログラミングを行いました。何度も走行データをとり、トラブルのあるヵ所を見直し改善を重ねました。

ハードは外部の先生にアドバイスをいただき、ボディにアースを取り車体からラジアルを垂らして静電気対策を行いました。その結果、走行中のリセットが一切起きなくなり、より高い確率でコースを完走できるようになりました。

大会本番では、良いところも、悪いところも練習のどおりの結果が出ていました。

1走目は、練習でイマイチだったクランクで、コースアウト。

2走目は、事前の試走と1走目で減った電池を満充電の電池に変更し、駆動・操舵などマシンの全体的なパフォーマンスの向上を図り見事完走しました。

ゴールした瞬間にマシンが停止するというアクシデントがあり、とてもヒヤヒヤしました。判定の結果ゴールが認められ、運に助けられたと思います。

練習ではコースのメンテナンスがそこそこだったので、タイヤが滑りながら走行していました。しかし本番では、スタッフの先生方が念入りなメンテナンスを行い、コース全体のグリップ力が桁違いに上がっていました。加えて、観客・選手が大勢いたため湿度も増し、普段の乾燥状態とは違う環境でした。

1走目のコースアウトは練習での走り方だったので、グリップ力が効きすぎてコース内側に落ちてしまったためです。事前にコースの状態チェックや環境に応じたマシンセッティングを行わないといけないと感じました。

今回も、一般Aの入賞者は、全国大会で常勝している方々でした。私が出場した一般Bにもたくさんのエントリーがあり、大会はとても盛り上がりました。完走後に暫定1位になったのに、その後、後輩の中井君に0.2秒抜かれてしまったのが悔やまれます。

2位に入賞して、自分の技術力が着実にあがり成果が出てきたと感じました。やはり全国の上位の人たちとは「超えられない3秒の壁」がありますが、なんとか追いついていきたいです。これまで敗退、4位、3位、2位と経験してきたので、来年の電通大杯では、優勝を狙います!

安慶名将君(電子機械工学科2年)

前日のミーティングの時に「マリオネットver3.0」を全員の前で走らせたときはほぼ全員が完走し、自分のタイムが一般Bに出場するメンバーの中で4位だったため、入賞は難しいだろうと思いました。

当日に先生に見せる時は3つ目のクランクのところで落ちて、その後クランクのブレーキの量を多くしたところ完走したので、もう大丈夫だろうと思って自分たちの試走の時間にそれ以上走らせるのをやめてしまいます。

今思えば、完走できたことで少し気が抜けてしまったのかもしれません。それが大会後に悔やまれることになりました。

というのは、大会本番の1走目で、2つ目の直線の後のスピードがそこそこ乗った時に入る揺り返しのところで落ちたからです。

前日のミーティング前に調整していた時に対策出来ていると思っていたし、当日の試走でもコースアウトしなかった場所でした。自分の詰めの甘さが悔しいです。

1走目が全員終了したところで完走した人が少なく、2走目で完走できれば入賞も狙えそうでした。そこで作戦を変更し、確実に完走できるように設定を調整しました。直線で速度が設定値以上になった場合、モーターの出力値を減少しスピードを落としました。

その結果、2回目は15秒56で完走し、暫定2位に食い込みました。その後、増田さんが走行して13秒96をだし順位が入れ替わりました。最終的に3位入賞を果たすことができました。

ちなみに1位は中井君で、一般Bの表彰台を昨年と同じく自由工房のメンバーが独占することが出来ました。

自分は、こうした大会で入賞すること自体が初めてなので、うれしく思いました。その反面、エントリーしている人全員が完走していた場合は入賞することができなっかたとも思います。次の大会の時は1走目から確実に安定性して速く完走できるように頑張りたいと思います。

今はマリオネットver3.0のハンドル制御に市販のデジタルサーボを使っています。ハンドルを振る速度に限界を感じてきたので、次の大会までに、和田さんや中井君が使っているような自作のアナログサーボに変更しようかと検討中です。

大会の待ち時間や懇親会の時、高校生や先生方が、鹿島君のマシンに興味を示していました。来年は、リファレンシャルギヤのマシン増えるかもしれないと、楽しみです。

鹿島健吾君(電子機械工学科1年)

今回の大会は、高校の時に作ったマシン「真空圧リキシン」を継続開発して出場しました。

「真空圧リキシン」は四輪操舵で、前も後ろもハンドルを切ることができます。特に、レーンチェンジの時には、すべてのタイヤが同じ方向にハンドルを切り、平行移動をします。自分としては、これを一番見てもらいたかったのです。

高校のときは、残念ながらレーンチェンジにたどり着く前にコースアウトしてしまいました。だからこそ、「今年は完走しよう、せめてレーンチェンジにたどり着こう」と強く思い、機体を作り込んできました。

そして大会本番、1走目。試走ではほぼ走りきれていた場所でコースアウトしてしまいました。そしてさらに、自分のちょっとした油断により電池を燃やしてしまいました。電池の皮膜がはがれていたことが原因で、コースアウトの理由もこれだと思います。

かなり焦りましたが、予備の電池を使って2走目に挑みました。

2走目は、なんとか完走!! 自分のマシンで大会に出場して、初完走です。レーンチェンジの時の観客の驚いた声や反応が、何よりも嬉しかったです。

大会後の懇親会でも、高校生や先生方に興味を持っていただきました。実際にミニコースで走らせて、近くで動きを見てもらいました。

自分は「速さだけでなく面白みも」という目標を掲げて機体を開発してきました。それだけに、多くの方に注目していただけたことは本当に嬉しい限りでした。

その半面、入賞できなかった悔しさが、大会終了後に大きくなってきました。やはり、面白みがあり、なおかつ結果を残してこそ、自分の目標は達成されるものだと再認識しました。

来年は、今のマシンに改良を加え、面白みと速さを兼ね備えたものを造り、しっかりと結果を残せるように頑張っていこうと思います。

富田信君(電子機械工学科2年)

今回の大会では、1度も完走することができませんでした。

原因はセンサが前日に壊れ、センサの修理とセンサに合わせた調整が十分じゃなかったからだと思います。それに加えクランクなど要所のプログラム調整がうまくいかず、ちょっとした変化でコースアウトしてしまうことがありました。

大会後の懇親会では徳永さんと大湯先生にマシンを見てもらい、マシンの重心位置や剛性、車体自体の重さなどのアドバイスをいただきました。

特に4WSが、マイコンカーではうまくいかないといわれたのには驚きでした。実車では有効だが、マイコンカーのホイルベースとトレッドでは短すぎて4WSは有効ではないらしいです。

ほかにもいろいろなアドバイスしていただきました。来年は、アドバイスを参考に新しいマシン設計などに励みたいと思います。

中森智史君(電子機械工学科1年)

今大会は、2周とも完走できませんでした。原因は、レポートを書いている今まだ分かっていません。漠然としかわからず、とても悔しいです。

今回は少し前まで、自由工房に常設してあるコースをそこそこのスピードで走ることができました。マシンの制約上、速度を上げる調整は難しかったものの、なんなくコースを周回することができていました。

しかし、一週間前からいくつもの不具合が発生しマシンを走らせることができない状況でした。

さらに、前日になってとうとうコースをセンシングしなくなってしまい、コースを走行することができなくなってしまいました。

原因となる部品は大体分かりましたが、問題を解決することができず、自身も意気消沈してしまい、お手上げな状態でした。

ただ、代替手段を模索すればかろうじて走れたことを考えるととても悔しかったです。

大会では、他の自由工房のメンバーが快走していたので、自分ももっとがんばらなければいけないなと思いました。自由工房の1年目は主だった結果を残すことはできませんでした。

しかし、新しく取り組み始めた技術もあるので、来年は今年を下地としてさらに段階を踏んで成長できるようにがんばろうと思います。今まで公式試合でタイムを残したことがないということもあり、来年はいい記録を残せるようにがんばりたいです。

スナップ